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金正恩は力づくで「中国の影」を葬った

金正男という最後のカード シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑤

なぜ、北朝鮮は日本に対して、威嚇行動をとり続けているのか? そもそも北朝鮮はなぜ、この様な国家になったのか? 中ロ情勢に精通する歴史家、田中健之氏が「周辺」から北朝鮮の本質を考察していく。新刊『北朝鮮の終幕』より10回にわたってお届けしたい。〈シリーズ!脱中国を図る北朝鮮⑤〉

中国にとって金正男氏の存在は、最大にして最後の北朝鮮圧迫のカードであった

李氏朝鮮の創始者にして初代国王

 朝鮮史を紐解く時、李氏朝鮮を創建した武将・李成桂の権力継承争いが有名です。李成桂は、重臣たちを巻き込んだ王子たちの激しい王位継承争いの中で退位しましたが、その後も王子たちによる王位継承争いは絶えませんでした。肉身の王位継承を巡る骨肉の争いに苦悩した李成桂は、失望から仏門に帰依したのです。

 李氏朝鮮末期の大院君と閔妃の権力争いも凄まじいものがありました。

 そして現代の韓国もまた、歴代大統領は逮捕されるか殺される、または自殺するなど、熾烈な権力闘争が渦巻いています。

 そうした激烈な権力闘争は、北朝鮮も例外ではありません。金正日の死後、激しい権力闘争が最近まで続いていたのです。

 金正男氏はそれを、「北朝鮮の特徴的な内部的な要因」であると表現した。それはまさに、朝鮮史の中に伝統的に特有な問題として度々生じてきた士禍と党争に他ならないのです。

 
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田中 健之

たなか たけゆき

 昭和38(1963)年、福岡市出身。歴史家。日露善隣協会々長。拓殖大学日本文化研究所附属近現代研究センター客員研究員を経て、現在、岐阜女子大学南アジア研究センター特別研究員、ロシア科学アカデミー東洋学研究所客員研究員、モスクワ市立教育大学外国語学部日本語学科客員研究員。 昭和58(1983)年に中国反体制組織『中国の春』の設立に関与し、平成元(1989)年6月4日に生じた天安門事件を支援、亡命者を庇護すると共に、中国民主運動家をはじめチベット、南モンゴル、ウイグルの民族独立革命家と長期にわたって交流を重ねている。 平成3(1991)年、ソ連崩壊と共にモスクワに渡り、ロシア各界に独自の人脈を築く。 一方、幼少より玄洋社、黒龍会の思想と行動に興味を抱き、長年、孫文の中華革命史およびアジア独立革命史上における玄洋社、黒龍会の歴史的、思想的な研究に従事、それに基づく独自の視点で、近現代史、思想史を論じている。 玄洋社初代社長平岡浩太郎の曾孫に当たり、黒龍会の内田良平の血脈道統を継ぐ親族。 著書に『昭和維新』(学研プラス)、『靖国に祀られざる人々』(学研パブリッシング)、『横浜中華街』(中央公論新社)、『実は日本人が大好きなロシア人』(宝島社)その他、共著、編著、雑誌など多数。



 


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