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乾燥したカカオを日本へ!

PNG(パプアニューギニア)マヌス島のカカオ 第6回

銀座「エスキス」のシェフ・パティシエである成田一世が、収穫からサロン・ド・ショコラ出展までチョコレート作りの全行程をレポートする連載です!

乾燥したカカオを日本へ!

画像提供:photolibrary
 

 発酵がきちんと進行すると、カカオ豆を覆っていたねっとりしたカカオパルプは徐々にまとまって、豆そのものが露出してくる。それを発酵箱から取り出し、乾燥小屋に入れる。驚くことに、今年はカカオの乾燥小屋が新調されていた! PNG政府も良質のカカオ増産にやる気満々ということだ。

 乾燥小屋には、豆をのせる網の下に少し斜度をつけた鉄管があり、手前で火を燃やすと管の中を熱風が通り抜ける。その熱を利用して豆を乾燥させる仕組みなのだが、古い鉄管だとところどころに開いた穴から煙が漏れて豆に苦い香りがついてしまう。今年の春先は天候にも恵まれ、何しろ新品の小屋だか(可動式の雨よけの屋根も新しくなっていた!)変な匂いもつかずに順調に乾燥が進んだ。

 カカオ豆を網の上に重ならない様に広げ、運動場をならすトンボのような器具でならしてひっくり返して、をくり返しおよそ2日、手でパチっと割れる様になったら乾燥した証拠だ。1kgのカカオポッドから約300gの乾燥した豆が出来上がる。
 これを20kgずつ袋に入れて日本に送ってもらうのだが、外側がきちんと乾燥しているので虫もつかない。今年は、発酵過程の温度も高く、乾燥の状態も良い。今年のカカオは期待できると確信した。

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成田 一世

なりた かずとし

銀座「エスキス」シェフ・パティシエ。「ピエール・エルメ・パリ」「ジョエル・ロブション」などで腕を磨き’12年に帰国。現在に至る。’17年「ASIA'S BEST 50 RESTAURANTS2017」にて「Asia's Best Pastry Chef」受賞。


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