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【528年前の今日:コロンブス・デー】世界史から見る戦国時代・・・10月12日、アメリカ大陸の発見は先住民にとって侵略記念日

平民ジャパン「今日は何の日」


 10月12日は「コロンブスの日」——アメリカ大陸がクリストファー・コロンブスによって“発見”された日。この日は先住民にとっては、征服され、滅ぼされた人々にとっては「呪いの日」のはじまり。って、ジャパンの平民にとっていったい何の関係があるかって⁉️ イエズス会宣教師と奴隷商人が結託して日本人の「奴隷」をせっせと「輸出」していた暗黒のセンゴク時代を知っているか⁉️ 
 そう、私たちの憧れの戦国時代は、敗軍の民は家畜同然、奴隷は船底に積まれて輸出される黒歴史でもあったのだ。ジャパンは名誉白人? どこまでオメデタいんですか! 謎のストリート系社会評論家、猫島カツヲが平民として生き残るべく知恵を語ります。


■コロンブスは黄金の国「ジパング」を目指したが・・・

1492年10月12日、アメリカ大陸を発見したコロンブスと彼を乗せたサンタ・マリア号(写真:パブリック ドメイン *サンタ・マリア号はレプリカ)

 

 528年前の今日、1492年10月12日、イタリア、ジェノバ出身の探検家で奴隷商人のクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見した。その島、西インド諸島のサン・サルバドル島にはアラワク族系のインディオが住んでいた。

 サン・サルバドル島とはコロンブスが名付けた「聖なる救世主」という意味だ。善意で出迎えた先住民を「悪魔のような征服者」は4回の航海で蹂躙した。あわや征服されかけた自覚の無い日本平民はガラパゴス島のイグアナのように、この恐るべき記念日にまったく興味がない。

 コロンブスと、それに続く征服者、宣教師たちは、そもそもジパングの黄金、先住民への布教、奴隷化を目指して続々と船出したことを忘れている。およそ400年前、天下統一後の日本はバテレン(宣教師)を追放し、教化と奴隷化を免れた。

 しかし、ほんとうにそうなのか?

 日本人は優秀な民族だと思っているだろうが、肌が黄色くも無いのにモンゴロイド(黄色人種)として区分されている。自由民だと思っているだろうが、より巧妙に教化され、奴隷化されている。コロンブスを勇気ある冒険家だと信じているならば、それがすでに奴隷の証だ。

 教会と王族が血なまぐさい権力闘争に明け暮れ、日々異端審判が行われ、伝染病が猛威をふるう15世紀、不潔不衛生極まりないヨーロッパから、病原菌とウイルスを身にまとって次々と飛び出した征服者たちは黄金の地、ジパングを目指した。

 コロンブスが間違って到達した島を手始めに、カリブ海諸島、中南米、北米全域を次々に侵略、コルテスが1521年にメキシコ高原のアステカ王国を、コルテスの右腕アルバラードが1524年にマヤ文明の高地(現在のグアテマラ)を、ピサロが1533年にインカ帝国(現在のペルー)に攻め入り、先住民を片っ端から虐殺、奴隷化、皇帝を捕らえ、身代金を奪い、処刑し、その文明を完全に粉砕した。

アメリカの原住民のインディアンを片っ端から殺害する入植者たち。民族浄化の歴史とアメリカの独立の歴史は重なり合っている(写真:パブリックドメイン)

 

 歴史ある神殿も城塞も破壊され、廃墟となり、その意味も知らない人々のインスタ映え観光資源になってしまっている。神の名を冠した極悪非道の侵略者たちがもっと早くジパングを見つけていたら、日本列島の先住民も、激しい戦いの末に、彼らの奴隷にされていた。

 コロンブスたちは殺戮と略奪を繰り返しながらも、自らのライフスタイルを無理やり維持しようとこだわり、ありとあらゆるものを持ち込んだ。その農作物と家畜はアメリカ大陸の生態系を破壊した。サトウキビは新大陸における奴隷制の拡大に貢献した。天然痘やインフルエンザといった疫病は、数え切れない先住民を根絶やしにした。

 その一方で、アメリカ大陸先住民が数千年かけて培った文明の成果であるトウモロコシやジャガイモを欧州に持ち帰った。ジャガイモのおかげで旧大陸の住民は飢饉から救われ、ヨーロッパの人口増加をもたらした。

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猫島 カツヲ

ねこじま かつを

ストリート系社会評論家。ハーバード大学大学院卒業。

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