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まるでアイドルの撮影会? 絵になる会津若松城

外川淳の「城の搦め手」第30回

 先日、日帰りで「赤瓦」の会津若松城天守を撮影してきた。会津若松城では、2011年、復元天守の葺き替え工事が完成。この工事は、明治初年、解体された当時の天守の瓦が赤だったにもかかわらず、昭和40年(1965)に再建されたとき、デザイン上の勝手な判断から濃い青の瓦が葺かれたことへの反省による。

葺き替え工事中のための足場が組まれた天守

 工事中の城郭建築では、建設機材が写り込むそれらしくない時限的光景が現れる。会津若松城でも、鉄筋コンクリート工法による再建への反省から多少、木造への回帰の意見もあったものの、天守内部の改装にともなう補修ですまされている。

 戦前に建設された大阪城天守閣では、約50年という鉄筋コンクリート建築の耐用のメドを過ぎたことから、大規模な改修工事が行われた。名古屋城をはじめ、戦災で失われ、鉄筋コンクリート建築で再建された天守は、大規模な補修が必要な時期となりつつある。

 大阪城や会津若松城では、行政の判断によって補修工事が実行された。名古屋城ではさまざまな議論の末、2022年12 月予定で、木造復元された天守の竣工を目指している。いずれにしろ、都市のシンボルである天守がどのような形態がふさわしいのかじっくりと議論することは大切なことだと思う。

 さて、会津若松城の天守は、2010年の春、ちょうど桜が満開の時期を迎え、瓦の葺き替え工事の足場が組まれたころ、撮影する機会があった。私は、いろいろな角度から撮影していたところ、10名近くの写真愛好家という感じの方々は、三脚を設置し、同じポイントから桜と天守とのコラボを撮影していた。

 そこで、つい出たツッコミ。
「アイドルの撮影会か!」
 なお、私自身、アイドルの撮影会の輪の中に入った経験はない。

桜の薄紅色と松の緑を組み合わせた絵ハガキ的カット

 たしかに、その時間帯の光線であれば、ベストのアングルだろうし、使用するレンズや、絞りやシャッタースピードを加減すれば、少しは違う作品に仕上がるにしても、個性を出すのには困難がともなう気がする。

石垣と天守と桜のコラボ。あくまでも主役は石垣のつもり

 今回は雪景色の撮影に関する話題を主目的とするところ、桜の撮影で文字数が満杯となったので、次回「会津若松城-雪景色編」を乞御期待。

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外川 淳

とがわ じゅん

1963年、神奈川県生まれ。早稲田大学日本史学科卒。歴史雑誌の編集者を経て、現在、歴史アナリスト。



戦国時代から幕末維新まで、軍事史を得意分野とする。



著書『秀吉 戦国城盗り物語』『しぶとい戦国武将伝』『完全制覇 戦国合戦史』『早分かり戦国史』など。



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