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引かれる小泉今日子と守られるユーミン、女性芸能人の政界進出はヌードより恥ずかしい

出馬はさすがに考えにくいが……

■キャンティといえばユーミンだけど、おキャンティといえばキョンキョン

 

ソフトバンクの法人向けイベント「Pepper World 2016」発表会での模様。この2年後の2018年2月、デビュー以来所属していたバーニングプロダクションからの独立と豊原功補との交際を発表した/写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ

 

「週刊アサヒ芸能」9月10日号の表紙に「小泉今日子『共産党から出馬』準備」という見出しが踊った。中身を見ると大した話ではなく「コロナ禍『芸能事件簿』セレクション」という5頁企画のなかで20行程度触れられているだけだ。それももっぱら「政治部記者」による匿名証言である。

「22年の参院選で共産党は目玉候補として、小泉今日子(54)を出馬させるという話が永田町に流れているんです。実際、ツイッターで小泉は安倍政権批判を繰り返し、5月末には共産党の機関紙『しんぶん赤旗』で劇作家の渡辺えりと対談。1面にデカデカと登場しています」

 ただ「過去の人」とはいえ、一世を風靡した元アイドルなので、反響もそれなり。ツイッターでは、こんな声を見かけた。
「うちはキョンキョン世代ですけど、共産党から出馬はさすがに引くわ… 天地真理のヌードくらい引く…」

 これには思わず、膝を打ったものだ。たしかに、女性芸能人の政界進出にはヌードに似た恥ずかしさがある。いや、ヌードがまだ芸能活動の一環であるのに対し、政治については完全に素人なのだから、恥ずかしさもそれ以上だろう。
 もちろん、現時点で出馬が決まっているわけではないが、小泉がこのところ左傾化しているのは事実だ。ネットでは「真っ赤な女の子がアカのオバサンに?」などと揶揄されてもいる。

 ではなぜ、彼女がこうなったかというと、男の存在が大きい。不倫相手でもある俳優・豊原功補である。こちらも政権批判に熱心な、いわゆる「アベガー」で、小泉はこの恋のためにデビュー以来所属してきた大手事務所・バーニングをやめて独立してしまった。また、経済面でサポートすべく自宅マンションを売却したことも報じられている。

 ただ、彼女が影響されやすいのは昔からだ。ブレイク直後には、新人類と呼ばれた若手文化人たちにサブカルの女王として祭り上げられ、秋山道男なる仕掛人的プロデューサーに乗せられて「原住民ビキニ(全身黒塗りの水着グラビア)」になったりもした。永瀬正敏と結婚中には「大人の部活動」と銘打った展覧会を開催。その実態は漫画家のカトリーヌあやこから「8月31日にあせって作った夏休みの宿題かいッ?」とつっこまれるシロモノだった。

 つまりはこの人「斬新でユニークっぽい私」というものを見せて「アートごっこ」的なことをやるのが何よりも得意なのだ。それがめぐりめぐって、最近の不倫や独立、政治ごっこにつながってきたのだろう。
 なお、前出の「アサ芸」には別の女性芸能人の出馬ネタも出ている。指原莉乃だ。より大きな扱いで、約50行。ただ、現役の売れっ子だし、まさか出馬はしないだろうから、恥ずかしさもさほどではない。それに、ラブコールを送っているのは自民党。そこにも、無難なおさまりのよさを感じるのである。

 というのも、女性は本来、保守的だからだ。同調圧力が強く、社会を変革するより、維持する方向性を好む。また、子を産み育てる性とあって、家庭にこだわり、その集合体である国家のかたちも大事にしようとする。戦時中、国防婦人会というものができて戦争協力に尽くしたのも、矛盾に見えて、じつは女性らしさのあらわれだったわけだ。

 にもかかわらず、反体制に向かう女性にはなんらかの理由で世を拗ねてしまったタイプが多いように思われる。小泉の場合も、父の事業失敗や親の離婚といった経験が、家庭ひいては国家への不信につながっているのだろう。

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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