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知ってた? 名古屋では「ジャンケン」を「〇〇ちゃん」と呼ぶ

日本の異界 名古屋⑪

「○○だがね!」語尾が独特な名古屋弁。子供の遊びにも、そんな独自性は残されている。『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)の著書、清水義範氏が理由を語る。

「いんちゃん」と言う名古屋の子供

 

 昔、「ジャンケン入門」という本を出して、その文庫の解説を名古屋出身で、私の高校の後輩でもある作家の高千穂遥氏に頼んだことがある。氏はいい解説を書いてくれ、最後をこう結んでいた。

「ところで清水さん。昔、ジャンケンと言ってましたか? いんちゃんと言ってませんでした?」

 もちろん、いんちゃんである。ジャンケンという言葉を知らないわけではなかったが、当然のように「いんちゃん、ほい」と言って勝負していた。

 このことは20 年ぐらい前でも同じである。かつて私はNHKの「ことばテレビ」という番組に出ていたが、その番組が日本全国でジャンケンのことをどう言っているか調べたことがあるのだ。その時、愛知県では、いんちゃんだった。番組のオープニング映像に、当時御存命だったきんさん、ぎんさんが出てくれ、「いんちゃん、ほい」と勝負してくれた。

 というわけで、子供の名古屋弁のことを考えてみよう。子供の遊びや、学校での行事などに、その地方ならではの言い方が残っていることは多いのである。

 たとえばの話、私は子供の頃、東京の子がメンコと呼んでいるもののことを、しょうや、と呼んでいた。

 ただし、もうメンコで遊ぶってことがなくなっているだろうから、名古屋の子もしょうやという言葉を知らないかもしれないが。

 ところで、なぜあれをしょうやと呼んだかについて、私はこんな想像をしている。

 ジャンケンによく似た三すくみ拳に、孤と猟師と庄屋のポーズを体であらわす庄屋拳というものがある。そして、私が遊んだ紙のしょうやには、裏に必ずジャンケンの、グー、チョキ、パーいずれかの絵がついていた。つまりあれは、ジャンケン用のカードでもあったのだ。そのジャンケンと庄屋拳を同等のものとみなして、庄屋拳用のカードだから、しょうやと呼んだのではないだろうか。

名古屋ビジネスや尾張藩のざっくりとした歴史、名古屋めしのルーツなどは『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)に詳しい。

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  • 清水 義範
  • 2017.07.08