【水をかけられながら法螺貝を吹き鳴らす!? 東京に本当にある変わったお祭り】 | BEST T!MESコラム

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水をかけられながら法螺貝を吹き鳴らす!? 東京に本当にある変わったお祭り

ニッポンの奇祭・珍祭①

なぜか路上に、ふたりの男が荒縄にぐるぐる巻きにされて横たわっていた。手には法螺貝を持っている。なんだこれは。するといきなり、周りの男たちが、荒縄男たちに水をぶっかけ始めた。荒縄男はやけくそ気味に法螺貝を吹き出す。

龍神に見立てた荒縄男がゴロゴロと転がされる「水止舞」

 時季:例年7月14日

 場所:東京都大田区大森東、厳正寺

白装束の男たちが米俵のような荒縄にすっぽり入ると、祭りの始まり。水をかけられ、転がされ…それでも吹き続ける。

 なぜか路上に、ふたりの男が荒縄にぐるぐる巻きにされて横たわっていた。手には法螺貝を持っている。なんだこれは。

 するといきなり、周りの男たちが、荒縄男たちに水をぶっかけ始めた。荒縄男はやけくそ気味に法螺貝を吹き出す。

「ブォー、ブォーブォー」 

 はっきり言って、無茶苦茶なメロディーである。このまま、男はひたすら厳正寺まで転がされていくのである。 

 水止舞は、文字通り「水を止める」祭りである。

 こんな話が伝わっている。かつてこの地域に雨が降らずに困っていた村人が、厳正寺の僧侶に頼んで雨乞いをしてもらったが、今度は逆に雨が止まらなくなった。そこで始めたのが水止舞だという。 

 この話が本当かどうかは分からないが、もともと現地の大森は海に近い土地柄である。有名な大森貝塚もあり、かつては海苔の生産地でもあった。水害に悩まされてあきたのは本当だろう。 

 荒縄男たちは、雨を降らせる龍神であり、それに水をぶっかけていじめ、雨を封じ込める、というのが主旨である。 

 荒縄男たちは厳正寺まで転がされていく。その後、獅子とささらすりが厳正寺に集結し、延々と踊り続ける。この踊りが本当の「水止舞」で、荒縄男が運ばれていくのは「道行き」という。この祭りの日には、決して雨が降らないとの伝承もある。

『一個人』2017年8月号より構成〉

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杉岡 幸徳

すぎおか こうとく

兵庫県生まれ。 東京外国語大学ドイツ語学科修士課程を修了。奇妙なもの、不可解なものを取材。『奇妙な祭り』(角川書店)、『大人の探検 奇祭』(実業之日本社)など、

多数の著書を執筆している。

 


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