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意外と知らない「神輿(みこし)」と「山車(だし)」の違い

「祭り」の不思議 素朴なギモン②

日本全国、どんな地域にも祭りの文化は根付いている。ここでは意外と知られていない、祭りの基礎的な知識や、歴史をQ&A式で紐解いていこう(『一個人』2017年8月号より)。

Q. 祭りではどんな楽器を使うのか? 

神々に呼びかけるための道具
 祭りに使われる楽器といえば、太鼓や笛が代表的なものとしてあげられる。祭りで使われる道具のことを祭具といい、太鼓や笛も祭具のひとつ。奏でられる音は神々に呼びかけるためのものとされ、祭りの際に演奏される音楽は「祭囃子」とよばれ独特のリズムがある。
 

Q. 神輿と山車の違いは? 

写真:photolibrary

神の乗せ方に能動と受動の違いが存在
 神様の乗り物として祭りに使われる神輿と山車。神輿は江戸時代に入り流行しはじめた神を乗せるための輿で、祭りの際には神社から御神体を神輿の中に移す。一方、山車は古くから山に棲むとされた神が降りてくる依り代(よりしろ)で、御神体を中に移し入れることはなく自然と神が降りてくる場所とされる。

Q. 寺と神社で祭りに違いはあるのか? 

祭りの意義に根本的な違いはない
 江戸時代までの日本では「神仏習合」といって、神と仏は深く結びついていたが、明治時代に入り「神仏分離令」が発されると、神社と寺は別種のものとして扱われるようになった。しかし、祭りの内容まで区別されることはなく、鎮魂・供養のために行われる祭りの意義に根本的な違いはない。
 

Q.海外の祭りと違うところ、似ているところは?

現代国家の中でも珍しい祭りの形
 儀式の部分はそれぞれ異なるが、集団で飲食や踊りを楽しむことは多くの祭りで共通する。しかし日本の場合、多種多様な信仰対象が存在しているため、一神教の祭りとは趣が異なる。現代国家では珍しくシャーマニズム的な感覚が残っており、古代の宗教観に基づく祭りが多い。

『一個人』2017年8月号より構成〉

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神崎 宣武

かんざき のりたけ

民族学者・旅の文化研究所所長



1944年、岡山県生まれ。国内外の民族調査・研究に従事。現在「旅の文化研究所」所長。2010年「国民文化祭」総合プロデューサー、文化庁文化審議会委員などを務める。郷里の岡山県宇佐八幡神社の宮司でもある。著作に『「まつり」の食文化』(角川書店)など。


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