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例えば同族経営。日本には“直系家族”組織が合っている

Q6:日本は直系家族国家であるといえど、核家族主義、個人主義に向かうことは避けられません。そのバランスをどのように考えればいいでしょうか?

ミシュランは完全直系家族型の会社

 結局は、直系家族的なものの良さを充分認識したうえで、全肯定に陥らず、核家族システムとの折衷型で進めていくしかないと思う。トヨタはある意味、その折衷型がうまくいっていますね。逆に日産は失敗した。そこにカルロス・ゴーンさんが来て持ち直した。

 実はゴーンが最初に勤めたミシュラン(世界有数のタイヤメーカー)は、フランスでは非常に珍しい完全な直系家族型の会社なんです。クレルモン・フェランという中央高地に位置する会社で、社長は代々一族出身です。ここでゴーンは最初、工場の現場から入っていた。超エリートはいきなり社長になるような(核家族型の)パリ盆地型の会社ではありえない。その後彼は、ブラジルでも経験を積んだ。スペイン・ポルトガルの平等主義が輸出されてもっとも原理的に根付いたアナーキーな平等主義家族型の国です。ギャングがすぐに蔓延るような土壌ですね。いろんな家族類型の国を渡り歩いてきたから、ゴーンは適応できたのだと思います。

 

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鹿島 茂

かしま しげる

鹿島 茂(かしま•しげる)



1949年生。仏文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMAimagesSTUDIO」を開設。新刊に『神田神保町書肆街考』(筑摩書房)、『太陽王ルイ14世ヴェルサイユの発明者』(KADOKAWA)がある。Twitter アカウント:@_kashimashigeru


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