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エマニュエル・トッド理論から解く日本「組織ができれば必ず直系家族的な思考が支配する」

Q3:われわれ一般人がトッドの理論を学ぶことは人生にどうフィードバックできますか。

英国のEU離脱など、世界情勢の大きなうねりを読み解いてきた、エマニュエル・トッド理論。それを学ぶ意義はわたしたち日本人にとっても大きい。新刊『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』を上梓した鹿島茂氏が、トッドの家族システム理論から日本を見通すことの重要性を解く。

家族類型を知ること=「動かしようのない事実」を知ること

 

 そうですね。「日本は直系家族である」ということを学ぶのは、「人間は死ぬべきものだ」ということを認識するのと同様に、動かしようのない事実を知ること。知ってもどうしようもない決定論だ、という人もいるかもしれません。

 しかし、それを知ることによって、直系家族的な悪弊に陥りやすい事象から避けることができるのではないでしょうか。会社にしてもなんにしても、日本では組織ができれば必ず直系家族的な思考が支配します。創業社長やカリスマ性のある人がいなくなると、みんな小物になってそうなりやすいですね。

 まずは自分の家庭のことを考えてみても、役立つケースは多いと思いますよ。家庭のない人はいないですからね。「私は孤児です」というような人だって、自分は家庭を築かなくてはならなりませんから。

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鹿島 茂

かしま しげる

鹿島 茂(かしま•しげる)



1949年生。仏文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMAimagesSTUDIO」を開設。新刊に『神田神保町書肆街考』(筑摩書房)、『太陽王ルイ14世ヴェルサイユの発明者』(KADOKAWA)がある。Twitter アカウント:@_kashimashigeru


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