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全国で2カ所だけ。幻の道路標識を求めて滋賀県・琵琶湖へ向かった

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第3回:幻の「自転車並進可」を見に行く

◆「並進」する自転車を待つ

 しかしその後、技術の進歩によって自動車公害は解決に向かい、バイコロジーなる言葉も死語になってしまった。この自転車道もすっかりさびれており、路面も荒れて草も生え放題という哀しい状況に陥っている。30分近くここで観察したが、並進どころか一台の自転車も通ることはなかった。これではせっかくの標識が浮かばれないということで、同行者と共に自転車を2台並べて記念撮影をしてきた。

写真を拡大 せっかくなので並進させてみた。

 このように、「並進可」標識はせっかく制定されたものの、事実上ほとんど機能していない。

 個人的には、「自転車で並進してはならない」というルール自体がほとんど知られていない以上、「自転車並進可」ではなく「自転車並進不可」の標識を作って、特に危険な場所などに立てる方が実際的ではないかと思える。

 ということで、滋賀県のこの標識は、いつなくなっても不思議ではない状況にある。「自転車並進可」の標識はあと1ヶ所、愛媛県新居浜市にあるというが、今後他に新設される可能性も低いだろう。貴重なこの標識を見に行くなら、今のうちということになりそうだ。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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