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エマニュエル・トッド理論で読む「日本会議」。彼らの目的は“直系家族”の復活

Q4:安倍政権、天皇家といった日本の象徴も直系家族的と言えますか?

天皇制はどうか

 ただ、天皇制に関しては直系家族とは元々は全然関係なかったんですよ。直系家族理念をもとに250年以上日本を支配した徳川幕府を倒した明治政府が、支配原理を模索するうち。プロイセンの直系家族システムにヒントを得て、天皇家を直系家族の「モデル」にしてしまったんです。徳川家康が士農工商の身分制度を縦軸に階層化した直系家族制度。それをご破産にした「革命政権」だったのですが、結局直系家族に戻って、頂点に家長としての天皇を置いたわけです。

 そもそも天皇家は男系ではありません。日本会議的な「男系を維持し直系家族的な家を維持するのが日本人の理想」という主張はノスタルジーとしてはありえても、現実的には無理。女子識字率が50%を超えた社会では絶対に無理なんです。

 政治的思想は後戻りや反動が効いても、社会革命が起こったらもう後戻りは効かない。女子は小学校卒業したらそれ以上教育は必要ないとか、大学には進学させないとか、子供は3人以上作れ、みたいな反動的強制でもしない限り、反動は無理。中国のような強権をもってしも難しいのに、一度民主主義を是認してしまった国では絶対に無理です。マッカーサーが核家族理念でつくった日本国憲法を、もう一度直系家族理念で作り直せと言っても、女子の識字率が50%を超えたら後戻りは効かないのです。

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鹿島 茂

かしま しげる

鹿島 茂(かしま•しげる)



1949年生。仏文学者。明治大学教授。専門は19世紀フランス文学。『職業別パリ風俗』で読売文学賞評論・伝記賞を受賞するなど数多くの受賞歴がある。膨大な古書コレクションを有し、東京都港区に書斎スタジオ「NOEMAimagesSTUDIO」を開設。新刊に『神田神保町書肆街考』(筑摩書房)、『太陽王ルイ14世ヴェルサイユの発明者』(KADOKAWA)がある。Twitter アカウント:@_kashimashigeru


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