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【神戸刑務所編】この刑務所どこかおかしい・・・突然、軍隊式の号令「気をつけ〜〜!!!!!」《さかはらじん懲役合計21年2カ月》

凶悪で愉快な塀の中の住人たちVol.28


 人は絶望からどう立ち直ることができるのか。
 人は悪の道からどのように社会と折り合いをつけることができるのか。
 元ヤクザでクリスチャン、今建設現場の「墨出し職人」さかはらじんが描く懲役合計21年2カ月の《生き直し》人生録。カタギに戻り10年あまり、罪の代償としての罰を受けてもなお、世間の差別・辛酸ももちろん舐め、信仰で回心した思いを
最新刊著作『塀の中はワンダーランド』で著しました実刑2年2カ月!
 じんさん、帯広刑務所を出所したらと思いきや、またまた「ワル」をしでかして今度はヒガシからニシヘ! 今度は神戸刑務所に3年間お世話になります。
 神戸刑務所編、さっそく「先例」を浴びます。じんさんどうする⁉️


イラスト:ひろさん(『塀の中はワンダーランド』より引用)

■新幹線の車窓から富士山へ「また三年後に会おうぜ」

 受刑者の一人がトイレに立つと、一本のロープで繋がっているボクたちは、一蓮托生だった。大便でも催そうものなら、全員で繋がってゾロゾロと便所まで行き、そいつが大便をし終わるまで、一緒になって狭い通路に張りついて待っていなければならない。しかもその間、便所の扉は開けっぱなしになっているから、否が応でも臭いがボクたちの鼻ヅラまで漂って来るのだった。

 その先頭に立つ護送担当の看守も、逃亡を企ててはいないかと覗き込んでは、その臭いに鼻の穴をヒクヒクと痙攣させながら、終わるのをジッと耐えて待つのだから、これも職務とはいえ、ボクたち以上に過酷だったであろう。

 途中、富士山がボクたちを出迎えてくれた。その秀麗な眺めにボクは目を奪われ、感動してしまった。おかげで、富士山の圧倒的な存在感は、しばらくの間、ボクに何かスピリチュアルなものを感じさせ、語りかけて来るかのように、ボクを魅了していたものである。

 やがて富士山がなだらかな稜線を見せ始め、徐々に裾野を広げてくると、ボクは富士山に向かって、「また三年後に会おうぜ」とだんだん遠く離れていく富士山の雄姿に別れを告げたのだった。 

突然、頭のテッペンから奇声「気をつけー!」の号令

 西明石駅に着くと、護送バスが出迎えに来ていた。こういうところはVIP待遇なのである。護送バスが神戸刑務所に入ると、所内のあちこちから例の軍隊式の号令や、歩調をとる懲役たちの掛け声が聞こえてきた。いよいよもって、神戸刑務所での新しい生活が始まるのだと実感する。

 ボクたち護送されて来た懲役は、さっそくその日から、顔見せのために新入訓練工場へ出役となった。
 護送されて来た6人の中に、渋谷の現役ヤクザで、御年75歳になる「蔵さん」という〝老侠客〟がいた。というより、老ジャンキーだったが。
 新入訓練工場では、訓練を受けている懲役たちが下を向いて黙々と作業をしていた。

 ボクたちは担当台の前に一列になって立たされた。そこへ上唇の端に大きなホクロをつけた担当部長が、これまた大きな目をギョロつかせてやって来ると、「休め」の姿勢で立っているボクたち6人を一人ひとり、ギョロリ、ギョロリと鋭く睨(ね)め回した。

 そして突然、頭のテッペンから奇声を発して、「気をつけー!」と号令をかけた。というよりも吠えたのだ。

 もちろん担当部長も自ら、「気をつけ!」の姿勢をとって、号令をかけている。しかし、身体は後ろへ反り返り、脚はO脚に開いて、顔の位置、視線は上を仰いていた。

 どうもこの刑務所の雰囲気はおかしいぞと感じながら、再び、漫画の『嗚呼!!花の応援団』の世界を思い出していた。

 

『ヤクザとキリスト〜塀の中はワンダーランド〜つづく)

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 2020年5月27日『塀の中のワンダーランド』
全国書店にて発売!

 新規連載がはじまりました!《元》ヤクザでキリスト教徒《現》建設現場の「墨出し職人」さかはらじんの《生き直し》人生録。「セーラー服と機関銃」ではありません!「塀の中の懲りない面々」ではありません!!「塀の中」滞在時間としては人生の約3分の1。ハンパなく、スケールが大きいかもしれません。

 絶望もがむしゃらに突き抜けた時、見えた希望の光!

 「ヤクザとキリスト〜塀の中はワンダーランド〜」です。

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さかはら じん

さかはら じん

1954年生まれ(本名:坂原仁基)、魚座・O型。埼玉県本庄市生まれの東京育ち。幼年 期に母を亡くし、兄と二人の生活で極度の貧困のため小学校1カ月で中退。8歳で父親に 引き取られるも、10歳で継母と決裂。素行の悪さから教護院へ。17歳で傷害・窃盗事件を 起こし横浜・練馬鑑別所。20歳で渡米。ニューヨークのステーキハウスで修行。帰国後、 22歳で覚せい剤所持で逮捕。23歳で父親への積年の恨みから殺害を実行するが、失敗。 銃刀法、覚せい剤使用で中野・府中刑務所でデビューを飾る。28歳出所後、再び覚せい剤 使用で府中刑務所に逆戻り。29歳、本格的にヤクザ道へ突入。以後、府中・新潟・帯広・神戸・ 札幌刑務所の常連として累計20年の「監獄」暮らし。人生54年目、獄中で自分の人生と向き合う不思議な啓示を受け、出所後、キリスト教の教えと出逢う。回心なのか、自分の生き方を悔い改める体験を受ける。現在、ヤクザな生き方を離れ、建築現場の墨出し職人として働く。人は非常事態に弱い。でもボクはその非常事態の中で生き抜いてきた。

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塀の中はワンダーランド
  • さかはらじん
  • 2020.05.27