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引きこもりが「出家」を望む今。恐山菩提寺院代がとらえた時代の変化

坐禅で「悟り」は開けない その三

南直哉禅師が会ってきた「出家したい」という気持ちを持つ人はどのような人なのか。約20年の修行を積み恐山・院代となった同師が上梓する『「悟り」は開けない』で語られるアウトサイダー仏教論。「悟り」とは何か――、そして「仏教」とは何か、その本質がわかる。

「出家したい」という気持ち

 最近、私は初めて性同一障害の人と会いました。20代の彼は元女性で、「思春期なるにつれ、どうしても女性の身体が嫌で、性転換を決意した」と言うのです。

 今はアルバイトをしながら、最終的な手術の資金を蓄えているそうですが、複雑だなぁと思ったのは、性転換して「男性」になっても、性的な指向は「男性」だと言うのです。つまり、性転換者のゲイというわけです。思うに、マイノリティ中のマイノリティではないでしょうか。今は、男性のパートナーと一緒に住んでいて、それなりに落ち着いて生活していると言います。で、この彼が私に「出家したい」と打ち明けるのです。

 あるいは、中学校で「引きこもり」になって以来、まともに世間に出ていないという40歳くらいの男性。この人は、ネットにショップを開設して、色々な中古品を売買していたら、それなりに儲かって、生活できるようになってしまったんだそうです。すると、もう「準引きこもり生活」を止める必要もなくなります。

 私は、それはそれで結構ではないかと思ったのですが、どういうわけか彼も「出家したい」と言い出すのです。

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南 直哉

みなみ じきさい











1958年、長野県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、大手百貨店勤務。1984年、曹洞宗で出家得度、同年、永平寺に入山。以後、約20年の修行生活を送る。

2003年に下山。現在、福井県霊泉寺住職、青森県恐山菩提寺院代。著書に『語る禅僧』(ちくま文庫)、『老師と少年』(新潮文庫)、『恐山―死者のいる場所』(新潮新書)、『善の根拠』(講談社現代新書)、『刺さる言葉―「恐山あれこれ日記」抄』他。


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  • 2017.07.08