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新卒社員の意見を聞いて、「3連休制度」を導入。“新人ファースト”の社長がいる会社

希代の経営者が語る、右肩下がりの時代を生き抜く働き方改革 第6回

――新卒採用した社員が離職しないようにするために、どのような取り組みをしていますか。

 エナジャイザーの結果から、「今の若い人は、同じことをやり続けるとストレスを感じやすい」ことが明らかになっています。ですから、新卒社員には「1年以内に人事異動させる」と伝えるようにしています。
 また、かつての武蔵野は、新入社員のフォローがおざなりになっていました。だから、定着率が低かった。現在は、入社3年目社員を「インストラクター」にして新人の指導を行ったり、2年目社員を「お世話係」として新卒社員一人ひとりにつけるなどして、きめ細かく面倒を見ています。その結果、新卒社員の定着率が大幅に向上しました。
 それから重要なのは、「早く仕事を習熟できて、成果が出せる」しくみをつくることです。入社をしてからある程度の仕事をまかせられるようになるまで、1年もかかっていたら遅すぎる。ですから作業を分解するなどして、すぐに習熟できるようにしています。

 普通の会社は、社員に「100点」を期待します。そして、100点が取れる社員を「一人前の社員」と呼ぶ。ですが、わが社は違います。わが社では、「80点」取れれば、もう「一人前」です。1年間かけて「100点」を取れる人を育てるのではなくて、80点でいいから半年で育てたほうが、間違いなく戦力になります。
 それに新入社員本人も、一人前が実は「80点」だとはわかっていません。ですから、「100点」に到達せずに「半人前」と言われるよりも、「80点」で一人前と言われるほうが、本人のモチベーションが上がりますし、やる気も出ます。
 多くの社長は、従来の会社のやり方に若者を合わさせようとする。だからうまくいきません。新卒を採用するためにも、採用した新卒を辞めさせないためにも、若者のトレンドに会社を合わせることが大切です。

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小山 昇

こやま のぼる

株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒業後、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して株式会社ベリーを経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任し、現在に至る。「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を毎年増収増益の優良企業に育て、日本で初めて「日本経営品質賞」を2度受賞。著書に『強い会社の教科書』『残業ゼロがすべてを解決する』(ともにダイヤモンド社)など多数ある。


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