倒産カウントダウンが始まった!! 生き残れる飲食店、先のない飲食店②【街金:テツクル&不動産:あくのふどうさん】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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倒産カウントダウンが始まった!! 生き残れる飲食店、先のない飲食店②【街金:テツクル&不動産:あくのふどうさん】

フェラーリで借りられる金額は1000万円!? 街金頼みの飲食店の厳しい懐事情

■もともと経営が苦しいお店も特別貸付を得ている

 実は、この新型コロナウイルス感染症特別貸付による融資を受ける店舗の中には、本来なら借りられない額を借りているケースも少なくないのだ。
「借りるだけ借りて、手持ちの現金を増やして、さて、今後どうしようかと考えている段階だと思いますよ」
と話すのは、あくのふどうさん氏。あくの氏は不動産ブローカーの傍ら飲食店を2店舗経営している。
「今回、まず厳しい状況に追いやられたのが、もともとカツカツな状況で経営している飲食店。それから立ち上げ時の初期費用で多く借金をしているお店です。また、元々の店の所在地が持っている場所の力というものがあります。駅から近いにも関わらず、暗さを感じたり、見栄えが重かったりと、お客さんが定借しずらい物件というものがあるんですよね。それを我々は、『死に筋店舗』と呼んでいるのですが、そういう場所は居抜きなど良い条件で借りられていても、存続は難しいかもしれませんね」(あくの氏)
 そんな、もともと経営が苦しいお店も特別貸付を得ているケースでは、当然ながら債務超過になっている。無利子期間、返済しなくて良い期間はあるものの、借金は借金。いずれ返していく必要がある。金は借りたもののたいして使わなかったからと、先行きを見通せるようになった時にまとまった額を返済できればいい。しかし、返すこともできない、売り上げもさほどないという店が、大量に生まれてしまう可能性も秘めているのだ。
 そのような店舗は、借金の返済を焦げ付かせながら、じわじわと倒産に向かって進んでいくしかない。日本の飲食業は、低価格で美味しく、従業員の質も高いという定評がこれまであった。それは、現場の従業員の低賃金に支えられているものでもあった。これ以上、劣悪な職場環境になった時、同じ質を維持していけるのだろうか。おそらく、それは厳しいだろう。ファストフードではないのに、「うまい、安い」、そしてなんといっても「スタッフが親切」を実現していたクールジャパンな飲食店から、その長所が消える日も遠い未来ではないのかもしれない。

 

 

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「マンガ版 ぼく、街金やってます」(1話150円、現在第2話まで掲載)
原作:中山美里
原案協力:テツクル
画:門倉卍貴浩

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中山 美里

なかやま みさと

フリーランスの編集ライター。編集プロダクション・オフィスキングを営む。日刊ゲンダイで「年収300万円でも愛人囲えます」連載中。アダルト、お金が得意ジャンルで、アングラカルチャーの取材・執筆を中心に活動。「週刊SPA!」「マイナビウーマン」など雑誌からWEBまで幅広く記事を執筆。KKベストセラーズのnoteで「マンガ版 ぼく、街金やってます」の原作も担当。

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