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社長が「生き残りをかけて…」と言い始めた時点で生き残れない

上司も部下も必読。「残念な人」の口ぐせ⑤

頭は悪くないのに、仕事ができない──。そんな残念な人には「口ぐせ」があった! 口ぐせには、その人の持つ残念な「モノの見方」や「考え方」、「心の持ちよう」が潜んでいる。したがって口ぐせとは、その人の頭の中そのものだと言っていいだろう。新刊『残念な人の口ぐせ』の著者、ビジネスコンサルタントの山崎将志氏が、口ぐせとその奥にある心理を分析。残念な上司部下への対応策と業務がスムーズになり、業績が上がる、そして人間関係がうまくいくための方法を解説する。

■前向きに見える後ろ向き「生き残りをかけて」

~新しい発想は生き残りをかけては生まれない~

 

「生き残りをかけて」という経営者がいる。

 しかし、それを目標にした時点で生き残れないと思う。なぜなら、「生き残り」をかけると、完全にその会社の中の人だけにしか関係ないビジネスになってしまい、周りの共感も得られないからである。

 世の中には、三種類のビジネスがある。

 人々が「使うべき」商品を売るビジネス。

 人々が「必要な」商品を売るビジネス。

 人々が「欲しい」商品を売るビジネス。

 ビジネスの強さは、下に行くほど強くなっていく。

「べき」型商品とは、勉強の教材や、良好な人間関係を維持するための道具である。法人向けの商品としては、会社のコミュニケーション促進するソフトウェアや、中長期的に社員のスキルを向上させるような研修などがある。このような商品のマーケットは小さい。

 次の「必要な」商品は、衣食住を満たすための商品や、法人がコンプライアンス対応のために購入する機器やサービスである。これらは一定の需要があるが、すぐにコモディティ化してしまうために、あまり利益が出ない。

 さて、儲かるビジネスは、一番下の人々が「欲しい」商品だ。

 たとえば、アップルのiPhoneやiPadは、特段持つべきとも言えないし、必要でもない。どのみち情報検索はGoogleで検索して出てきたページを見ているだけだから、どんな道具を使っても同じである。

 多くの人は、ただ「欲しい」から買っている。買ったあとに必要性を見つけ出しているのではないかと思うくらいだ。

 多くの人が「欲しい」と思う商品は、生き残りをかけていては生まれない。生き残りをかけると、競合品への機能追加や、自社製品の前例踏襲といった低リスクの開発アプローチになってしまい、あっと驚くような製品は生まれない。

社長が一般社員と同じ視点

 あっと驚くような商品を作るには、「やりたい」という気持ちが必要だ。

 先述の商品の強さと同様に、会社組織のポジションも整理できる。

「やるべきこと」をやるのは管理者、

「やらねばならぬこと」をやるのが一般社員

「やりたいこと」をやるのは事業家

 業績を上げている会社の経営者は、規模の大小に関わらず、自分が「やりたいこと」をやっている。つまり、事業家である。

 一方、管理者視点(やるべきことをやる)、あるいは一般社員視点(やらねばならぬことをやる)で社長が働いている会社は、業績がよくない。オーナー社長であっても、サラリーマン社長であっても、同じである。

「生き残りをかける」というのは、管理者視点、一般社員視点で組織を運営することであり、それでは人々が「欲しい」と思う商品は生まれない。

 社員も共感しないし、取引先の会社や客も共感しない。倒れそうになったら同情はするが、裏では他の商品や取引先を探すだけである。

 だからうまくいかないのである。経営者が「俺はこういうことがやりたい」と打ち出している会社は、世の中が不況でも不況とは考えないし、新しいことをやるチャンスと捉える。

「事業家」不在の会社は哀しい。社長はやりたいことが見つからず、「生き残りをかけて」と言っている。

 生き残りが目的になっていてはチャレンジができないし、やりたいことがないから組織運営上の細かいどうでもよいことが目に付き、結局は社員の生活が重要という福祉団体になってしまう。

 雇用は結果であり、目的ではないことは、ここでわざわざ言うまでもないだろう。

『残念な人の口ぐせ』より構成】

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  • 山崎 将志
  • 2017.04.08