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朴槿恵逮捕 なぜ韓国では歴代大統領の不正事件が続くのか

『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』 第2回

韓国が赤化消滅する日は来るのか――元韓国国防総省北朝鮮情報分析官であり、元外務省主任分析官である佐藤優氏との緊急対談した韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』を上梓するなど、朝鮮半島情勢に詳しい高永喆(コウ・ヨンチョル)氏に、情報分析のプロの視点から話をしていただいた。 

 

 韓国では兄弟や親戚が政府要職に採用されると、それが一族にとっての強力な後ろ盾になります。特に、身内が国会議員や検事など、国家権力機関にいる場合は、社会生活のあらゆる面で有利になるからです。

 韓国では “身内の面度を見るのは当たり前”といわれ、家族、親戚間に太いつながりがあります。

 大手財閥系の企業でも、オーナーの親戚が会社の役員や要職に就くことがほとんどです。ただ、最近ではマスメディアと国民の監視が厳しくなり、政府における人事採用については、過去に比べると不正がほとんど無くなり、コネや縁故で公務員に採用されるといったことはありません。

 しかしながら、政府傘下の公社や公団には、日本同様に天下りが多いのは事実です。

 また、韓国では政権が交代すると大幅な人事異動が行われます。新大統領が就任すると、それに伴い、任命される政府高官や政府傘下の公社・公団の幹部のポストが、なんと3万にも達するのです。

 その中で、政務次官と長官級(大臣)を含めて資格を審査する国会聴聞の対象は 61人であり、国会任命同意を除いて38人の政府高官が国会人事聴聞会を経て、大統領が任命します。

 ちなみにアメリカは、1200人のスタッフを大統領が指名します。

 アメリカに比べて、韓国の大統領がいかに幅広い人事権を持っているのかがわかるはずです。

 韓国では出世するためには“実力者に向かう行例に立て”といわれています。大手財閥も大統領の側近に近づき、大統領宛の政治献金を惜しまずに差し出すことによって、大型国家プロジェクトや国策事業を受注できるようになるのです。ですから韓国の大企業が税金以外に大統領府、および政府高官に捧げる献金規模は、韓国の年間税収の半分を占めるといわれています。

 こういったことが、韓国の歴代大統領に不正疑惑がつきまとう背景にあるのです。

 大統領であれ政府高官であれ、在任中は賄賂の誘惑からなかなか逃れることができません。また、兄弟や親戚が政府の要職に在任するのは、そうは訪れない機会であり、周囲にいる人間にも、彼らが権力の座にいる間に、利権にあずからなければならないという意識が働きます。

 その結果として、大統領や政府高官による大型不正疑惑は、政権が交代してもほとんど絶えることがないのです。

【『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』より構成】

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高 永喆

コウ ヨンチョル

拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防総省北朝鮮分析官。

1953年、韓国全羅南道に生まれ。1975年韓国朝鮮大学卒業(奨学生)、同年海軍将校任官、海軍大学卒業(正規18期)。

駆逐艦作戦官を経て第2艦隊特海高速艇隊長、済州道防衛司令部情報参謀、海軍士官学本部隊長、国立海洋大学・海軍教育団(ROTC)教官・副団長を歴任。

1989年からは、国防総省北朝鮮分析官(専門委員)、同日本担当官(防衛交流)を務める。

1993年、金泳三政権の軍部粛清により、全斗煥、盧泰愚の元大統領及び軍政治団体ハナ会らとともに逮捕。その後、金大中大統領の特別赦免・復権を受ける。

1999年12月に来日。以降、テレビ、新聞、週刊誌に北朝鮮問題解説、特講、講演を通して韓日友好に寄与中。

共著に佐藤優氏との『国家情報戦略』(講談社)、ほか『亡国のインテリジェンス』(文芸社)などがある。


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  • コウ・ヨンチョル
  • 2017.03.25