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よく聞く「お若いですね」は失礼

言葉遣いの基本は「敬語」 押さえておきたい敬語の実例 ⑨

この春新入社員になるあなたへ。第一印象を決めるのは、まず「言葉遣い」。そして、その言葉遣いの基本となるのが「敬語」だ。大ベストセラー「頭がいい人の 敬語の使い方」シリーズの著者・本郷陽二氏のシリーズ最新刊、『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』(ベスト新書)から、押さえておきたい敬語の実例を紹介する。

◆年配の方には「お若い」より、個性をほめる

イラスト/ホセ・フランキー

 ある程度の年齢の人に、「お若いですね」というのは、ほめ言葉になっているようです。
 そのためか、テレビ番組などでも、お年寄りが登場すると、「おじいちゃん、とてもお若いですね」「おばあちゃん、びっくりするほど若いですよ」などと、大げさにほめるのをよく聞きます。でも、ただ「若い」を連発していたのでは、聞くほうに「どうせ社交辞令だろう」と受け止められるかもしれません。
 また、ほめたつもりでも、年配の方をムッとさせる表現があるので、それにも気をつけないといけません。
 たとえば、「もうそんなお歳なんですか」「そんなお年寄りには見えませんよ」「年齢の割にはお元気ですね」では、ほめ言葉になっていないばかりか、むしろ相手の老いを強調する表現ともいえるでしょう。
「おばあちゃんは十分にお若いですよ。年齢には見えません」なども、悪気がないとしても、言われたほうは決して愉快ではないでしょう。

 加齢による衰えは人それぞれですが、それを押しなべて「若い」の一言でカバーされては、見え透いたお世辞を言っているようにしか思えません。
 心が明るくなるような励ましの言葉として伝えるには、もう一ひねりした表現にしたいもの。それには、人それぞれの個性や能力を評価して、いいところにスポットライトを当てることです。
 姿勢がよく、しっかりとした足取りで歩く人なら、「○○さんは、骨格がしっかりしているから姿勢もいいんですね。本当にカクシャクとされていて、とてもパワフルな印象を受けます」というように言ったらどうでしょう。
 このほうがさっそうと元気に歩く姿が目に見えるようです。

 年齢を重ねた方をほめるのにぴったりな言葉のひとつに「矍鑠・カクシャク」がありますが、これは年齢を重ねても元気で丈夫な様子を表すもの。
 特に男性に対しての言葉ですが、「お若いですね」より「カクシャクとしていらっしゃいますね」としたほうが、ずっとエネルギッシュに感じられ、ご本人もうれしく思うのではないでしょうか。

◆年配の方をほめる場合には

× 年齢の割にお元気ですね
〇 カクシャクとされていますね
〇 お肌のつやがいいですね
〇 おっしゃることに重みがあります

【ワンポイント】
「若い」が、ほめ言葉ではない
 

『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』より構成】

 

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本郷 陽二

ほんごう ようじ

1947年東京都生まれ。幸運社代表。早稲田大学文学部卒業。

光文社カッパブックス編集部でベストセラーとなった

『冠婚葬祭入門』(塩月弥栄子著)のシリーズなどを担当。

その後、話し方や歴史関係の著作やプロデュースで活躍。

主な著書に『日本人が「9割間違える」日本語』(PHP研究所)、

『頭がいい人の敬語の使い方』(日本文芸社)、

『人を動かす「ほめ言葉」』(中央公論新社)、

『上流の日本語』(朝日新聞出版)、『「知」の強化書』(小学館)、

『使いこなしてみたい「和」の言葉』(実務教育出版)などがある。

最新刊は『一言で印象が変わる さすかと思われる話し方』

(KKベストセラーズ・ベスト新書)


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