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新井恵理那に田中みな実、女子アナ30歳限界説を覆すフリーアナたちの下克上

強さを内に秘めつつも優しく可憐であり続ける女たち

■大石恵にはじまり、皆藤愛子、新井恵理那、岡副麻希や阿部華也子が所属するセント・フォース

そこに、新たな勢力として登場するのがフリーアナである。特にセント・フォースはフリーアナ量産プロダクションとして、大きな流れを作った。お天気お姉さんの育成が得意で、94年に「ニュースステーション」(テレビ朝日系)でデビューした大石恵を皮切りに「めざましテレビ」(フジテレビ系)や「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)にも多くの人材を提供している。皆藤や新井もここから世に出たわけだ。

また、女子大生部門というべきスプラウトを設けて、のちに子会社化。大学在籍中はスプラウトで、卒業したらセント・フォースにというシステムを確立した。これにより、有望な女子大生を青田買いして、長期的にマネジメントすることができる。新井もそうだし、岡副麻希や阿部華也子もこのシステムを通過したのである。

とまあ、局アナとフリーアナの違いは要するに「所属」のかたちだ。つまり、局アナは会社員でもあるが、フリーアナは純然としたタレントということになる。おかげでフリーアナは、CMや雑誌のグラビアなどにも登場できる。いわば、局アナ以上にアイドルらしい活動が可能だ。

とはいえ、会社員という立場がない分、売れなければ消えるだけである。会社の命令でやりたくない仕事をやることはないかわり、それを自分の意志でこなしたりもする。ちょっとでも上に行き、長く生き残るために。そういう意味では、フリーアナの世界は本家のアイドルのそれに近い。彼女たちの媚びは、会社のためではなく、自分のためなのだ。

そんなフリーアナの世界観をわかりやすく見せてくれているのが、今をときめく新井である。ミス青学から局アナへという王道を目指したものの、最終選考に残れたのはフジのみで、全敗。その悔しさから、フリーアナになった。が、すぐには芽が出ず、24歳のときには3ヶ月間、無職という苦境も経験した。

3月27日放送の「徹子の部屋」(テレビ朝日系)では、

「今、10年目くらいになるんですが、始めた頃は全然お仕事がなくって、大学4年生のときから仕事をしているんですけれども、まったくなかったので、今、こうしていることが本当に不思議なくらいでして」

と笑顔で語ったが、無職になったときは、降板した番組スタッフからもらった花束を帰宅後、床に投げつけたという。

「我に返って花束を拾うと、自分が情けなく思えてくる。すごく悔しくて、降板した番組は見ませんでした。フリーはいつ仕事がなくなるかわからない。厳しい現実を突きつけられる日々でした」(Yahoo!ニュース 特集編集部)

そこから復活後、下克上的な快進撃が始まるわけだが、テレビに映る彼女からは花束を投げつけるような激しさは伝わってこない。そこを見せずに、あくまで癒し系として安らぎをもたらし続けられるあたりが、世の中から求められる稀有な才能でもあるのだろう。

女子アナの場合、自己主張より自己抑制の能力のほうが重要だ。たとえば、局アナからフリーアナになっても安定した人気を維持する加藤綾子は、そのバランスが抜群だったりする。新井もまたしかりで、バランスのよさを感じさせる。

会社員でもある局アナ以上に、プロの女子アナとしての資質が期待され、競争にもさらされるフリーアナ。コロナ問題も年単位で長引くことが予想されるだけに、強さを内に秘めつつも優しく可憐であり続ける彼女たちは貴重だ。テレビの中のナースみたいな存在かもしれない。実際、ナース姿も似合いそうである。

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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