一番値段が下がるのはチーズ? 日本農業にも大きなプラスもたらすはずだった? 3分で分かるトレンドワード【TPP】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

一番値段が下がるのはチーズ? 日本農業にも大きなプラスもたらすはずだった? 3分で分かるトレンドワード【TPP】

【TPP】を慶應義塾大学教授・渡邊頼純氏が徹底解説②

「今さら聞けない」そんなニュースのキーワードはないでしょうか。これだけ押さえておけば、ニュースがみるみる分かる。上司にも「あいつ知ってるな」と思わせる、「トレンドワード」をスピード解説。「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが生徒役となり、その分野の先生たちに話を聞いていきます。
(キャラクター紹介)
トオルくん…学生時代の付け焼き刃の勉強がたたり、ニュースが分からないことだらけ。素朴すぎる疑問を発してよく相手を困らせる。20代会社員。
シズカちゃん…しっかり者で、いつも「これって〇〇ということですよね」とまとめてくれる。でもじつは結構天然ボケ。20代会社員。トオルとは同僚。

(~前回のおさらい「TPPによって、ヒト・モノ・サービス・資本がダイナミックに動くようになる。その経済効果は測り知れない」~)

●TPPで一般庶民の「選択肢が増える」

田中光さんのシュールイラストで分かる!? 
※画像をクリックすると【4コマ編】へ飛びます

トオル…なるほど! こうやって聞くとかなり構造的な転換がおこりそうですね。お話を聞くまでは、TPPで肉が安くなればいいな……ぐらいの考えだったのですが(笑)。

渡邊…もちろんそういった庶民の視点も重要です(笑)。いまおっしゃった肉、牛肉でいえばかつては本当に高級品でした。私が子供の頃は父親が給料日に酔っ払って200gぐらい肉をぶら下げて帰ってきて「今日は贅沢してすき焼きだぞ!」という世界でしたから。それが1991年に牛肉輸入が自由化になり、最初70%あった関税がいまでは38.5%でしょう。そして今度のTPPで9%になろうとしている。きょうび学生でも気軽に「今日は牛角で焼肉でも食べるか」という時代ですよね。産地の選択肢もいまは増えていて、アメリカ産だけじゃなく、オーストラリア産、ニュージーランド産もお手頃価格で買える。もちろん財布に余裕があれば、松阪牛、神戸牛といった国産を買ってもいい。TPP・自由貿易のメリットは所得に応じた消費が可能になること。この「選択肢が増えていく」というのは私たち一般市民がTPPであずかれる大きな恩恵でしょう。

シズカ…なんだかワクワクしてきたわ。何か今度のTPPで大きく値段が下がりそうな食品はあるのかしら。

渡邊例えばチーズですね

 

 いまでもデパ地下やスーパーでフランス、イタリア、オランダ、デンマークなどヨーロッパのチーズはいろいろ手に入りますが、まだ実感値として「少し高いな」というのが正直な所です。でもTPPが発効すれば、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、このあたりのチーズが安くなる可能性があります。今後、例えばピザのトッピングで選ぶチーズのバリエーションが増えるかもしれませんよ。

 
次のページ●農業にダメージ? むしろ日本の農産品を売り込めるチャンス

KEYWORDS:

オススメ記事