「トランプvs習近平」の戦争は勃発するか?<br />「チャイナリスク2017」の暴発はあるのか?<br />中国専門ジャーナリストが予測する未来シナリオ《第1回》 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「トランプvs習近平」の戦争は勃発するか?
「チャイナリスク2017」の暴発はあるのか?
中国専門ジャーナリストが予測する未来シナリオ《第1回》

中国専門ジャーナリスト福島香織が語る「チャイナリスク2017 衝撃の真実」

 もう一つ望ましいシナリオとは、習近平が突然、独裁者志向を放棄し、政治改革に着手する、という習近平隠れ改革派シナリオだ。習近平は一党独裁維持のために自分に権力を集中させ強軍化政策を進めていると今のところ思われているが、それは実はかりそめの姿で、習近平こそが共産党体制に引導を渡し、民主的選挙による大統領制を導入する〝ゴルバチョフ役〞を引き受ける。そして共産党最後の総書記にして最初の大統領となる。

「私はゴルバチョフにならない」と言っていたのは、周囲を欺くためのうそだったか、当初はそう思っていたが、結局、体制改革は避けられないと判断するという可能性だ。

 解放軍は国軍化され、かつての旧ソ連とほぼ同じ道をたどる。その際、チベット、モンゴル、ウイグル地区などで独立運動が起きるかもしれない。習近平は劉暁波[一九五五~/中国の著作家。民主化運動に参加し投獄される。二〇一〇年にノーベル平和賞を受賞]に続く二人目の中国人ノーベル平和賞受賞者になるやもしれないし、あるいは国民の指示を得たプーチンのような強い独裁的指導者に生まれ変わるかもしれない。

劉暁波

 それはそれで、ひそやかに期待したい。さんざん習近平政権を批判してきた私だが、私の観察眼が曇っていたのだと、そのときは心から反省の弁を述べたい。

 しかし、中国のメディア関係者や学者らの間では、私の知る限り、そんな甘い期待を抱いている人はいない。

※新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』本文記事一部抜粋。

 

著者略歴

福島香織(ふくしま・かおり)

1967年、奈良県生まれ。大阪大学文学部卒業後、産経新聞社大阪本社に入社。1998年上海・復旦大学に1年間語学留学。2001年に香港支局長、2002年春より2008年秋まで中国総局特派員として北京に駐在。2009年11月末に退社後、フリー記者として取材、執筆を開始する。テーマは「中国という国の内幕の解剖」。社会、文化、政治、経済など多角的な取材を通じて〝近くて遠い国の大国〟との付き合い方を考える。日経ビジネスオンラインで中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス、月刊「Hanada」誌上で「現代中国残酷物語」を連載している。TBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」水曜ニュースクリップにレギュラー出演中。著書に『潜入ルポ!中国の女』、『中国「反日デモ」の深層』、『現代中国悪女列伝』、『本当は日本が大好きな中国人』、『権力闘争がわかれば中国がわかる』など。最新刊『赤い帝国・中国が滅びる日』(KKベストセラーズ)が発売即重版、好評発売中。

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