AV業界の「未払い」「二次使用」問題と闘う!かさいあみを突き動かす“亡き先輩”の教え
■「1ヶ月・4ヶ月ルール」改善で業界再生を
——これまでの話を踏まえて、AV業界の健全化に向けて必要な環境整備は何だと考えますか。
かさい AV新法のメリットとして出演者の権利が主張しやすくなったと思います。この点はしっかりと残していくのは絶対に欠かせないです。二次使用料やギャラの未払い問題がある時点で健全化には遠いので、演者が声を上げられる場所を作ることも大切だと思います。
AV新法は色々問題ありますけど、「1ヶ月・4ヶ月ルール(※2)」は何とかして欲しいです。そこだけ何とかしてくれたら私みたいな泥水すすり系女優たちが這い上がれる場所ができますし、メーカーさんも現場をバラさなくても済みます。
女優さんがSNSで「今日はこの現場だよ」って告知できたらファンは興味持つじゃないですか。でも、発売日が4ヶ月後だとファンも女の子も冷めちゃう。それって結局誰も得しませんよね。
そしてお金の流れを明確化してほしい。アメリカとかオランダは日本よりもアダルトの規制が厳しいんです。それでも、女優達は自立して活動しています。それは国がしっかりと法整備をしてくれているからだと思うんです。日本も早く追いついて欲しいなと思っています。
——事務所制度についてはどうお考えですか。
かさい エージェント制にしたら女優さんもやりやすいかもしれませんね。私が知っている事務所のマネージャーさんとかにもすごく優秀な人がいるんです。その人達に各メーカーに営業してもらったらパチっとハマる作品に出会えたりするんじゃないかな。
AV女優もマネージャーさんも合う合わないはあると思います。事務所の雰囲気とも相性があるので、選べる仕組みを作りたいですね。
——セカンドキャリアの支援についてはいかがでしょうか。
かさい 一部の売れっ子女優さんは芸能界へ行ったりしていますよね。今は上原亜衣ちゃんとか天使もえちゃんみたいに、自分でAVとは無関係な事業を起こして、そこへ引退した子たちを巻き込んでいけるような仕組み作りを頑張ってる子たちがいっぱいいます。そういう子たちが増えていけたらいいなとは思いますね。
私も今海外とやり取りするときに英語ができないから、英語ができる女優さんを通訳として雇っています。
AV女優は脱ぐ以外に何もできないと思われていますけど、今は全然違いますので後は引退してからスムーズに別の仕事へ行けるシステムができれば、大丈夫かなと思います。
——お金とセカンドキャリアの問題以外に業界が健全化するために必要なメカニズムはあるでしょうか。
女優さんが自立して活動できるようにする構造ですね。事務所は仕事取ってくるだけって感じで女の子達へ何も教えていないと思います。マネージメントとしては健全ですけど、もし事務所を辞めたら何もできないじゃないですか。
この業界はいつ仕事がなくなるのかわからない。だから自分で仕事が取れるようにしておくとか、現場での立ち回り方などを教えていく環境を作っていく必要があると思います。
※2「1ヶ月・4ヶ月ルール」:現在AV新法では出演許諾契約書にサインをしてから1ヶ月後に撮影、販売は撮影してから4ヶ月後と義務化されている。それを「1ヶ月・4ヶ月ルール」と業界で呼んでいる。