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AV業界の「未払い」「二次使用」問題と闘う!かさいあみを突き動かす“亡き先輩”の教え

■大好きな紅音ほたるの生き様、教えが突き動かす

 

——かさいさんが元AV女優として業界のためにさまざまな支援活動をしている理由を教えてください。

かさい 私はAVが大好きで業界に入ったんです。今でも芸能人に会うよりもAV女優に会う方が興奮します(笑)。実際業界に入ってみると変な人が多くて、変な人が大好きなので真面目にエロを作ってる変な人たちに出会えて、これは私の財産だなと思いました。

 そんな中、真面目で変な人だなって思う女優がいたんですよ。それが業界に入る前から大ファンで、憧れの存在の紅音ほたるちゃんでした。

 女優になる前から仲良くしてもらっていたんですけど、彼女ってめっちゃギャルだったんですよ。それなのに渋谷で1人毎週コンドーム配ってて。どうしてなのか聞いてみたらエイズ撲滅するための活動として配っていたんですよ。それに絶対に望まない妊娠をしたくないからって一人ひとりに「ちゃんとゴムつけなよ」って声かけしていたんです。

 深掘りして聞くと「自分はAVで中出しして間違えた知識をばら撒いているからそういうのも払拭したい」って言っていました。人気女優だから男の子も「わー紅音ほたるだ!」って集まるじゃないですか。そんな状況でも「AVはファンタジーやねんから絶対真似するな」って言っている姿を見て、素直に「かっこいいな」って思ったのがきっかけかもしれないですね。

 彼女は現役時代からセカンドキャリアの話をしていて、引退した後は講演をしながらポールダンスを始めたんです。理由を聞いたら「私がポールダンスの世界で輝いていたら、他の子も引退したらそれやろうって何か思ってくれるかもしれへんやろ」って。

 彼女は売れっ子だったけどすごく謙虚でした。AV女優って周りがちやほやしてくれるから勘違いしちゃう子もいるけど、「絶対に天狗になったらあかん。謙虚が大事」って教えてくれたり、沢山相談に乗ってくれたりしてくれました。

 彼女の教えを守っていたら色々な人達と関わりが持てるようになったんです。彼女はその後亡くなってしまったんですけど、その遺志みたいなものを継いで彼女から教わったことを後輩へ伝えていきたいと思って、今みたいな活動をさせてもらっています。

——最後に、今後の目標をお聞かせください。

かさい これからの目標は、クリエイター(私は演者すべてをアダルトクリエイターと呼んでいるんですけど)が自分の権利をもっと主張できて、なおかつ正当な対価・報酬を得られるような仕組みを作っていきたいですね。

 みんなきっとAVが大好きで入っているので、その人達がAV人生を全うした時に「AV業界に入ってよかったな」と思えるようにしたいです。

——本日はお忙しいところありがとうございました。

 

取材・構成:篁五郎

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篁五郎

たかむら ごろう

1973年神奈川県出身。小売業、販売業、サービス業と非正規で仕事を転々した後、フリーライターへ転身。西部邁の表現者塾ににて保守思想を学び、個人で勉強を続けている。現在、都内の医療法人と医療サイトをメインに芸能、スポーツ、プロレス、グルメ、マーケティングと雑多なジャンルで記事を執筆しつつ、鎌倉文学館館長・富岡幸一郎氏から文学者について話を聞く連載も手がけている。

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