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知っているかが生死を分ける「救急車の賢い呼び方」

季節の変り目で、急激な気温の変化により突然倒れる人が多い。そんな時頼れるのは「119」 だ。だが、突然の事態に遭遇した時、「本当に救急車を呼んでいいのか…」と迷う人が多いの ではないか。命をつなぐ、正しい救急医療の知識を身につけよう!

看護師が対応する救急相談センター

 

「今後、高齢化が進むにつれ、さらに救急車の出動回数が増えるのは必至。救急体制に支障が出てくることが懸念されます」と話すのは、帝京大学医学部附属病院で救命救急センター長を務める三宅康史さんだ。

 東京消防庁管内の2015年中の救急出動件数は75万9802件。救急業務がスタートした1936年以来、過去最高を記録した。全国では605万1168件で、こちらも過去最高だった。件数が増えれば、現場からより遠くの救急隊が出動する確率が高まり、到着が遅れ、助かるはずの命まで救えなくなってしまうのだ。

 だが、実はこの数字には救急車の出動が必要ないケースが数多く含まれている。 東京消防庁の場合、救急車で搬送された人のうち、医師の診断で軽症と判断されたのは52%にも及び、重症以上は8%に過ぎなかった。中には「眠れず誰かに話を聞いてほしい」や、「病院に行くタクシー代を節約」するために救急車を要請した例もあった。

 こうした非常識な行為は言語道断だが、「救急車を呼ぶべきか、自力で病院に行くべきか、判断できない時は各自治体の関係機関が用意したシステムを積極的に活用するようにしてほしい」と三宅さん。東京消防庁の場合は、ウェブ上で「救急受診ガイド」を設置。パソコン、スマートフォン、携帯電話からつなぐことができる。案内に従いながら進めていくと、救急車を呼ぶべきかどうかの判断が示される。

 電話で#7119(ダイヤル回線からは23区03-3212-2323、多摩地区042-521-2323)にかければ、救急相談センターにつながり、救急相談看護師が対応。緊急性があると判断されれば、救急車を呼んでくれる。また、相談内容に適した医療機関の案内もしている。「問題は、こうしたシステムの存在が一般の人たちの間に浸透していない点です。周知をもっと徹底して、より積極的な活用を促し、救急体制の充実につながればと期待しています」。

救急で迷った時の心得

(1)緊急性が高いと思ったら119番
(2)#7119では薬のことは聞けない
(3)トリアージに協力すべし
トリアージとは搬送の優先順位をつけること。救急隊員が緊急性はないと判断し自力受診を提案されたら、速やかに同意して、隊員の次の緊急出動に協力する意識を持とう。

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