保護柴たちの未来を考える(番外編) ─かわいそうだから、という理由で保護犬を迎えないでほしい─ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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保護柴たちの未来を考える(番外編) ─かわいそうだから、という理由で保護犬を迎えないでほしい─

保護犬だって、出産もすればお腹も見せる。

■ある日、いきなり産気づいて

 高嶋家にやってきたナツは、喜怒哀楽の感情を出すことがなく、頭をなでようとするとビクッとしたり、最初は「どこに連れてこられたんだろう?」という感じでしたが、高嶋さんは慣れるまで焦らず見守ろうと決意。1週間もするころには高嶋さんもご両親もナツへの愛着がわき、結局一時預かりではなく、正式に家で飼うことに決めました。
そうしてナツを飼い始めて1ヶ月半ほどがたったころ、思いがけない事件が起きました。

 「ナツがいきなり出産したんです。実は預かった時点で、保護センターの人から『もしかしたら妊娠しているかもしれない』と聞いてはいました。保護団体の知人からも『子犬が産まれたとしても、受け入れ先を見つけるから大丈夫』と言ってもらい、飼いながら様子を見ることにしていたんです。
でもおっぱいは伸びてくるものの、お腹は一向に大きくならず、動物病院でも『擬妊娠では?』と言われるだけで、何事もなく過ごしていました。でもある日の午後、ナツが急に動かなくなって産気づいて…あの時は本当にびっくりしました」

 犬のお産など見たこともなかった高嶋さんとお母さんでしたが、たまたま手元に借りてあった柴犬の飼い方の本を見ながら、なんとか子犬をとりあげました。生まれた子犬はオスとメスの2頭。

 「普通は胎盤やへその緒は母犬がちぎるものらしいのですが、ナツはほったらかしだったので、母と一緒に胎盤をやぶいてへその緒をしばって切って、子犬を拭いて。ナツのおっぱいにつけてあげたら、ちゃんと飲み出して、ホッとしました」

 オスの子犬は高嶋さんの親友が飼いたいと申し出てくれたので、そこの家庭へもらわれることに。メスの子犬はもらい手が決まらないまま、生後2ヶ月間は社会性を学ばせるために2頭ともナツと一緒に過ごさせました。

 「そうして2ヶ月が経ち、オスの子が旅立っていったら、ナツとメスの子がよりそってすごく悲しげな様子を見せたんです。この2頭は離してはいけないなと感じて、メスの子は残すことにしました。それがマメです」

 

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小西 秀司

こにし しゅうじ

作家・デザイナー・編集者

出版社での雑誌編集を経て、4年以上にもおよぶアジア放浪の旅へ。帰国後はフリーのエディトリアルデザイナーとして活躍しながらフレンチブルドッグ専門誌「BUHI」(オークラ出版)を創刊、現在も編集長を務める。犬に対する圧倒的な愛情、柔らかな感性が多くの犬好きの共感を呼び、ワークショップの開催やラジオ出演など多方面で活躍中。『柴犬ライフ』統括編集。

主な著書は「動物たちのお医者さん」(小学館)、「きみとさいごまで」(オークラ出版)「どうして こんなにも 犬たちは」(三交社)など。

 

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