柴犬のシニアライフを考える~『ワンコット』の介護・老犬ケア~ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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柴犬のシニアライフを考える~『ワンコット』の介護・老犬ケア~

愛柴ともっと永く。うんと幸せに暮らすために

「愛柴には幸せに長生きしてほしい」
その実現には、ご家庭での介護に加えて、専門家の力が大きな助けとなりそうです。
 犬と人のための大型複合施設「WANCOTT(ワンコット)」マネージャーで介護・老犬ケアの責任者も務める北島愛さんに、シニア犬の介護やケアについてお話しをうかがいました。

■認知症で訪れる子が多い柴犬

 一般的に、柴犬のような日本犬は認知症になる子が多いといわれています。ここに来る柴犬さんたちも、認知症の徴候が見られるようになって訪れる子が多いかもしれません。認知症の特徴としては、徘徊や夜鳴きといった症状がありますよね。特に都会にお住まいの方は、夜鳴きで近隣の方にご迷惑をかけていないか…と悩んでいる方が多いようです。さらに夜鳴きの場合は、ご家族が睡眠をとれずに体調をくずしてしまうケースも少なくありません。

 ここへ来られるときには、ワンちゃんもオーナーさんも疲れたご様子の方も多くいらっしゃいます。お互い、あるいはどちらかに限界が来てしまって介護施設を利用するというケースです。

|専門家には気軽にアプローチして良い

 

 介護施設は “家族以外の人にお世話をお願いする”という点で、一歩を踏み出しにくい方が多いようです。たとえば若くて元気なときに利用する通常のペットホテルは、ショッピングや短期旅行などをきっかけにお預けする方が多いと思いますが、介護となると、よほどのことがない限り利用しないという方がまだまだ多い印象です。

 ここに来てくださるお客様も、最初のきっかけは、どうしても外せない用事があって一時的にお預かりした方が多いですね。でも、お迎えに来たときに愛犬の顔が生き生きしていたり、帰宅後夜ぐっすり眠ってくれたという経験をされて、定期的に利用してくださる方がとても増えています。

|たっぷりの「愛情」と少しの「刺激」

 シニア犬たちは必然的に運動量が減ってお出かけする機会も少なくなるので、こういった施設でお友達と一緒に過ごしたり、頭を使ったトレーニングを行うことがとても良い刺激になるんです。お預かりするワンコメンバーによってはとても静かな日もあるのですが、そんな時はワンコット内の別のエリアでお預かりしている若い子を連れて来て遊んでもらったりもします。
 走り回ったり、先輩たちの顔を舐めたりして自由に過ごしてもらうんです。そうすると、寝たきりの子でも『お、なんだ!?』と目に力が入って、とつぜん先輩ぶったりするんです(笑)。

 お家ではご家族の愛情をたっぷり受けて、こういう場所では刺激を受ける。きっと愛犬にとっても良い経験になると思いますので、大きなきっかけがなくても、気軽なお気持ちで来てくださればと思います。
 

 

■各専門家が連携し,QOL向上を実現

 「ワンコット」の大きな特徴は、介護・老犬ケアだけでなく、ペットホテルやドッグラン、トレーニングやフィットネスが併設した大型複合施設であることです。各エリアには医療スタッフ(獣医師・動物看護師)、トリマー、ドッグトレーナー、フィットネストレーナーといった専門家がいるので、子犬からシニア犬までその子の目的に合わせてご利用いただけます。

 私たち医療スタッフは、介護・老犬ケアのエリアにいることが多く、主にシニア犬たちの介護や体調管理をしています。医療スタッフは過去に動物病院で経験をつんだ動物看護師と獣医師であるのも特徴のひとつです。
 わたしたちは介護のベースには必ず“看護”の知識や技術、経験が必要だと考えています。
 その子の小さな変化に気付けるか? 症状を見てどのように対処するのか? 救急病院へ行くべきか? など、介護には見極めが大切だからです。

 

|シニア犬には「頭を使うトレーニング」が有効

 さまざまなケアが必要な介護は、各専門家がいると大変心強いものです。たとえば、高齢の子には頭を使ったトレーニングが効果的ですし、ご家族と離れることが苦手な分離不安の子がおうち以外の場所で過ごすには、リラックスさせてあげるトレーニングが必要になります。
 このような専門的なトレーニングは、私たち医療スタッフだけでは時間がかかってしまいます。「ワンコット」にはドッグトレーナーやフィットネストレーナーもいるので、必要に応じて連携することで、スムーズにQOLを高めてあげることができます。

 日常ケアをする私たち動物看護師は、24時間常駐しています。夜中も巡回ではなく、終始つきっきりなんですね。シニア犬は、自分で排泄ができない、寝たきり、徘徊、夜泣きなど症状がさまざまです。
 しかし、24時間スタッフがいることで、夜中に排泄をしてもすぐに対応できますし、寝たきりの子は“床ずれ”ができないように2〜3時間おきに寝る向きを変えてあげます。床ずれは一度できると治りにくいので、作らないようにすることが大切です。ここにも、寝て過ごす時間が多い子はいますが、床ずれは

介護・老犬ケア責任者の北島愛さん

できていません。
 さらにご家族の生活スタイルによっては、深夜にごはんを食べる子もいます。生活リズムが変わってしまうと、ご自宅に戻ってからが大変ですよね。ここでは昼も夜も同じ対応をしているので、ご家庭でのリズムを崩さないケアも可能になります。
 

|分離不安を解消した子

 

 シニア犬はご家族と過ごしてきた時間も長いですから、お父さん・お母さんと離れることに抵抗がある子もいますし、それはオーナーさんも然りです。現在長期ステイをしている子の中にも、お父さん・お母さんが見えなくなった途端、分離不安になってしまう子がいました。出入り口からずっと離れず、スタッフやおやつにも一切興味を示さないほどでした。

 でもその子は長期ステイをすることが決まっていたので、できる限り早く慣らしてあげる必要があったんですね。
 【一時預かり→デイケア→短期ステイ】と段階を踏んでご利用いただくことで、オーナーさんと離れる時間を少しずつ長くしたり、その子の性格を捉えて心のケアをしてあげることが私たち医療スタッフの役割です。加えてドッグトレーナーと連携をして、リラックスできるようなトレーニングをするなど、専門的なトレーニングをおこなっていきます。

 動物看護師とドッグトレーナー、専門の違うそれぞれの観点からケアすることで、その子も比較的早く慣れてくれました。今ではここの女番長と言っていいほど堂々としていて、スタッフの後をつけまわすストーカーのようにもなっているんですよ(笑)。
 

 

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