保護柴たちの未来を考える(番外編) ─かわいそうだから、という理由で保護犬を迎えないでほしい─ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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保護柴たちの未来を考える(番外編) ─かわいそうだから、という理由で保護犬を迎えないでほしい─

保護犬だって、出産もすればお腹も見せる。

■お腹を見せてくれ、思わず感涙

 産後のナツは子犬を毎日なめてきれいにし、おっぱいもちゃんとあげて、排泄の際はお尻をなめて出してあげるなど、面倒見のよい母犬になりました。そのうち高嶋さんやご両親への態度にも変化がみられるようになったそうです。

 「急に子犬を育てなければいけない環境になって大変だったと思うのですが、必死に毎日を生きているうちに、周囲にいる私たちにも自然となじんでくれていったという感じがします。それまではお腹を出すこともなかったのですが、産後8ヶ月くらいたったころ、私と一緒に寝転がっているときに、いいこいいこと頭をなでていたら、初めてお腹を出してくれて。うれしくて、思わず泣いてしまいました」

 今はお母さんと一緒に2頭を連れて、毎朝近くの海岸に散歩に出かけるという高嶋さん。天気が良い日には富士山がよく見えるスポットを犬たちと歩くのがお気に入りです。

 「犬がいなかったら、こんなにたくさん散歩も行かないし、歩くことは母の足腰にもとてもいいと思います。柴犬は自立しているというか、あまりべたべたしていないところが私は好き。とくにナツは、どこか達観していているようなところがあって、頼り甲斐があります。マメはうちで生まれてずっと母犬と育っているので繊細なところもありますが、天真爛漫でかわいい。言葉がよくわかっていて、心が通じ合える感じがします。それぞれの魅力がありますね」

 ナツは保護犬出身で、以前飼っていた雑種犬も地域のお祭りで里親募集のブースにいた元保護犬。結果的に2回保護犬を迎えてきた高嶋さんだが、保護犬=特別という意識はまったくないそうです。

 「ペットショップ出身の犬も、保護センター出身の犬も、犬は犬。大きくなった犬を飼って、ちゃんと家になじむのかな? と最初は不安なこともありましたが、飼ってみるとそんなに違いはないのかなと。たしかに保護犬にはいろんな経験やトラウマを抱えている子もいるかもしれませんが、その場合はトラウマを解消してあげればいいと思います。犬の専門家の方が、『保護犬に対して必要以上にかわいそうと同情するのではなく、どんな犬でも毅然としたリーダーシップがとれる飼い主が必要』といったことを話しているのを聞いたこともありますが、本当にそうだと思います」

 これから保護犬を迎えたい人がいたら、譲渡会などに出かけて、自分に合う犬が見つかるまで時間をかけるといいのでは、と高嶋さんは言います。

 「犬を飼うにもマッチングが大切です。たとえば足腰が悪く散歩がたっぷりできない人のところに、運動量が多く必要な犬が行けばお互いストレスになります。かわいいというだけで安易に飼うのではなく、生活スタイルに合う犬をじっくり検討するといいですね」

 高嶋さんは、ナツとマメと暮らすことで、毎日「犬がいてよかった」と感じるといいます。

 「犬がいると、家族の会話が増えますし、場の雰囲気がすごく明るくなります。弟の子どもも、うちに来たときに2頭と遊ぶのが楽しいみたい。子どもと動物が触れ合えるのもいいですよね。ナツは私の『いつか柴犬と暮らしてみたい』という夢をかなえてくれて、マメという命も運んできてくれて、私たち家族に幸せをたくさんくれました。2頭とも、最後の日まで元気に散歩をして、ご飯を食べて、幸せに生きて欲しいですね」

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小西 秀司

こにし しゅうじ

作家・デザイナー・編集者

出版社での雑誌編集を経て、4年以上にもおよぶアジア放浪の旅へ。帰国後はフリーのエディトリアルデザイナーとして活躍しながらフレンチブルドッグ専門誌「BUHI」(オークラ出版)を創刊、現在も編集長を務める。犬に対する圧倒的な愛情、柔らかな感性が多くの犬好きの共感を呼び、ワークショップの開催やラジオ出演など多方面で活躍中。『柴犬ライフ』統括編集。

主な著書は「動物たちのお医者さん」(小学館)、「きみとさいごまで」(オークラ出版)「どうして こんなにも 犬たちは」(三交社)など。

 

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