ポジション争いのライバルは、最大のお手本 <br />那須大亮さんが見せる姿勢――遠藤航「世界への大航海」 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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ポジション争いのライバルは、最大のお手本 
那須大亮さんが見せる姿勢――遠藤航「世界への大航海」

「出られない日々」に感じたこと。いつもと違った1勝を手にして。

■那須大亮さんの調子が良い理由

「踏ん張りどきだな」――自分にそう言い聞かせながら、練習に取り組んでいました。
 そんななかで刺激を受けたのが那須大亮さんの存在でした。

 僕が試合に出ていない間、「3バックの真ん中」を務めていたのが那須さんだったわけですが、それは僕からすればポジションを争うライバルであることを意味します。僕がこういうことを書くのはおかしいかもしれませんが、実際、那須さんはとてもコンディションがよく、チームが勝利を目指すなかで那須さんを起用するのは妥当な判断だと思っていました。そして、僕は那須さんがなぜコンディションがいいか、その理由が分かっていました。

 ファーストステージではなかなか出場機会がなかった那須さんはいつも黙々と練習に打ち込んでいたのです。

 紅白戦。同じ「センターバックの真ん中」として対峙する那須さんは、いつもいやらしい存在でした。セットプレーからフィジカルを生かし、得点を貪欲に狙う姿勢にはいつも苦しめられました。

 練習後に個別トレーニングに取り組むとき。隣りにはいつも那須さんがいました。シーズン中に強い負荷をかけて筋力トレーニングをすることはあまりないのですが、那須さんは違いました。気になって、「ふだんからそんなに重いのを使うんですか?」と聞くと、「試合に出ているときはコンディション重視でやるけど、出てないときは強い負荷でちゃんとやりたいんだ」と教えてくれました。

 百戦錬磨のベテランでありながら、そういう高い意識を持ち続けている。那須さんのコンディションがいいのは当然だったわけです。

 なにより那須さんの姿は、僕がこの試合に出られない「踏ん張り時」にどう振舞うべきか、ということの指針にもなりました。試合に出られない間も、腐らず日々の練習を大事にする姿勢。この姿勢こそが、那須さんが試合に出て結果を出せる理由だ、と感じたのです。

 だからこそ、僕も練習で自身のレベルアップを目指し、チームのために尽くすことで、いつか試合に出られるチャンスが来たときに結果が残せるはずだ。チームの勝利に貢献できるはずだ、そう思えた。

 ガンバ大阪戦で久しぶりに「スリーバックの真ん中」でスタメン出場の機会を得て、勝利できたことは、その証明にもなっていたと思います。

 那須さんの存在は僕にとってそれくらい大きいものでした。

 シーズンも残りわずか。まずはセカンドステージ制覇を目指して、まい進して行きたいと思います。

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遠藤 航

えんどう わたる

浦和レッズ

1993年2月9日生まれ。神奈川県横浜市出身。

2008年に湘南ベルマーレユースへ加入すると、2010年には2種登録選手としてJ1で6試合に出場し1得点。翌年に、正式にトップチームへ昇格、主にセンターバックとして活躍する。各年代の日本代表にも招集され、リオ五輪を目指すU-23代表では主将を務め、リオ五輪代表出場権を勝ち取った。2016年シーズンより浦和レッズに移籍。



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