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「食べては吐く、ってパターンか!」
瘦せ姫と性風俗との相性は良くない?

摂食障害になった女性たちとの30年余りの交流の軌跡が話題の書に!

「瘦せることがすべて」。そんな生き方をする女性たちがいます。

 いわゆる摂食障害により、医学的に見て瘦せすぎている女性のことですが、そんな彼女たちを「瘦せ姫」と呼ばせてもらっています。

 彼女たちはある意味、病人であって病人ではないのかもしれません。

 というのも、人によってはその状態に満足していたりしますし、あるいは、かつてそうだったことに郷愁を抱く女性や、むしろこれからそうなりたいと願う女性もいるからです。

 今回は、禁断の「瘦せ姫と性風俗産業」との相性について、『瘦せ姫 生きづらさの果てに』の著者・エフ=宝泉薫氏が語ります。

 

瘦せ姫と風俗

「もっと太ってから来てほしい、と言われました。

あと10キロ以上増やさなきゃいけないみたい」

 

 ただし、瘦せ姫と性風俗産業との相性は必ずしも良好とはいえません。前述した、性的なものへの嫌悪感や苦手意識もそうですが、世の男性の多くが求めるエロスと彼女たちのエロスとのあいだにズレがあるのも否めないからです。

 世の男性の多くは女性の「肉感」を好み、母性的なやすらぎを期待しがちです。一方、瘦せ姫は肉感に乏しく、その少女的な儚(はかな)さを愛する男性もいるとはいえ、あくまで少数派です。それこそ「なんにでものしかかっていく」ような男性であっても、選べるなら前者を選ぶという傾向が強いのです。

 それゆえ、瘦せの度合によっては、面接で落とされてしまうことも珍しくありません。

「顔は合格なんだけど、その体型では雇えない、って言われちゃった」

 などというつぶやきを、SNSではしばしば目にします。

 また、採用されたとしても、仕事現場ではさまざまな苦痛が待ち受けています。体型を理由に、いわゆる「チェンジ」ということにされたり、瘦せ姫ならではのセクハラに遭遇したり。

 どんなセクハラかというと、いきなり腕や脚を触られて、

「うわっ、ホントにガリガリだな。絶対、拒食症だろ」

 と、勝手に診断されるとか、

「食べては吐く、っていうパターンか。今度来るときには、もうこの世にいなかったりして」

 などと、不吉な予言をされるといったものです。

 じつは男性には「女性の体型をいじって楽しむ」という性癖も普遍的に存在するため、太った女性同様、瘦せた女性もその格好の対象となります。まして、お金を払って性的サービスを受けに来ていて、アルコールなども入るのですから、その性癖は全開になりがちです。

 そんなセクハラを笑ってやり過ごせる瘦せ姫は少ないでしょう。というより、こうした性癖に平気で耐えられるような人はそもそも摂食障害にはならない気がします。

 それでも、性風俗産業で働こうとする瘦せ姫が一定数います。その最大の理由は経済的な事情でしょうが、それ以外に、精神的なものも作用しているように感じます。

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エフ=宝泉薫

エフ ほうせんかおる

1964年生まれ。主に芸能・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版。2007年からSNSでの執筆も開始し、現在、ブログ『痩せ姫の光と影』(http://ameblo.jp/fuji507/)などを更新中。2016年に『瘦せ姫 生きづらさの果てに』を出版し、話題となる。

 

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  • 2016.08.26