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田原総一朗 「政府からのクレームを恐れて自主規制なんかをせずに、どんどん権力側がやっていることを報道し、国民の意見や考えを汲み取っていかないといけない」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q30.今の日本、未来へはどう向かっていけばいいのでしょうか?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。

Q30.今の日本、未来へはどう向かっていけばいいのでしょうか?

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 
 
 
 

 僕らは太平洋戦争を経験した最後の世代なんです。その責任というか、戦争を知らない若い世代に体験を語り継いでいかなければいけないという責任感がある。80歳を過ぎた今でも、できるだけ権力に切り込んでいくジャーナリストであろうとするのは、そんな使命感が励みになっているんです。
 
 軍部の暴走や、それを止められなかった政府の無策によって、開戦前から負けることが分かりきっていた戦争に突入してしまったのだから、日本を「戦争ができる国」にしたら、また同じ過ちを繰り返す可能性があるんだ。だから、あらゆる理屈を超えて戦争を起こしてはいけない。反対していかなければいけない。何故に日本は戦争に負けたのか、そしてどんなに悲惨な結果を生むのか。語り継いでいかなくてはいけない。そう考えている。
 これは前にも行ったけど、戦争を引き起こさないために一番大切にしなければいけないのは、「言論の自由」です。言いたいことが言える世の中にしないと、戦争に突入し、戦火に巻き込まれた時代と同じになってしまう。僕の子供時代、戦争中は「大本営発表」で嘘っぱちばかり伝えられていた。そのうえ、政府や軍部の考える、いや、強制する以外の意見を自由に発言すると、すぐに非国民のレッテルを貼られ、取り締まりの対象になっていた。

 それが今、言論の自由がねじ曲げられるような風潮になってきている。言いたいことが言えないような雰囲気なんです。これも以前指摘したけど、自民党の憲法草案の第21条。現行憲法は1項で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」となっている。でも草案は、「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」という項目が付け加えられている。

 これはよく分からない。公益って何です。定義が曖昧です。誰が決めるんですか。それに加えて今年2月の高市早苗総務相の「政治的な公平性を欠く内容を繰り返したと判断した場合、その局に対する電波停止がありうる」という発言。時の権力者が自分たちに「都合が悪い」と考えて、拡大解釈で適用すれば、いくらだって報道を規制できてしまう。

 今の憲法では21条によって、言論・出版その他一切の表現の自由は保障されている。そこに照らし合わせれば、高市発言は完全な憲法違反。だいたい自民党の憲法草案を始め、議員の発言も国民を縛りつけるような文言が多過ぎる。事実、表現の自由に関する国連特別報告者で、カリフォルニア大学アーバイン校教授のデービット・ケイが来日した時、多くの日本ジャーナリストに聞き取り調査を実施して「日本の報道機関の独立性が深刻な脅威に曝されていることを憂慮する」と表明しているんです。

 こんな風潮にはマスコミ、報道機関が頑張って反論、報道していかないとダメだ。「言論の自由」を訴えていかなければいけないんだ。僕もタブーを無視して、朝まで生テレビでバンバン言っているんだから。放送局や新聞社、出版社は、政府からのクレームを恐れて自主規制なんかせずに、どんどん権力側がやっていることを報道し、国民の意見や考えを汲み取っていかないといけない。それが、明日の日本を切り開いていく手段のひとつです。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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