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田原総一朗「改憲はできなかったんじゃなくて、しなかった」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q2.連立政権の他政党を説得して改憲するという方法もあるのでしょうか?

『変貌する自民党の正体』(ベスト新書)を上梓。常に第一線のジャーナリストとして活躍したきた田原総一朗氏に話を聞いた。
Q2.連立政権の他政党を説得して改憲するという方法もあるのでしょうか?

 ◆安全保障を自前で考えざるを得なくなっている

 

 自民党ができたのが1955年。その時の目標の一つが改憲でした。ところがそれから60年間、改憲していない。僕は、これは改憲できなかったんじゃなくて、しなかったんだと考えている。
 改憲を具体的に言った総理大臣は、岸信介さんだけ。でも、打ち出した訳ではない。彼は日米安保条約の改正に専念した。
 安保条約、つまり日米同盟で日本が一番恐れていたのは、これは今もそうだけど、アメリカの戦争に巻き込まれること。現にベトナム戦争の時にも「日本よ、ベトナムで一緒に戦おう」と言ってきている。しかし日本側は「確かに戦いたい。でも、あなたの国が難しい憲法を押し付けたから、行くに行けないじゃないか」と、憲法第9条を口実に使って、戦争に巻き込まれることを上手く回避してきた。これは佐藤栄作さんから小泉純一郎の時代まで続いた。その上に日本の安全保障を、アメリカに委ねてきたんです。
 しかし、1990年代に入った頃から、ちょっと事情が変わってきた。
 世界地図を見るとわかるけど、ソビエト連邦が存在している時は、日本は西側陣営の東の端、極東の防護壁のような位置付けになっていた。
 日米安保条約というのは、それを基盤に成り立っているから、日本がどこかの国から攻められればアメリカが守るというのは、日本の国土や国民を守るのではなく、西側陣営を守るという意味だった。だから実は、アメリカが攻められても日本は何もしない、戦争に巻き込まれないという有利な条約なんです。
 ところが東西冷戦が終結して、91年にソ連が崩壊した。まだ、北朝鮮や中国という存在はあるけれども、以前ほど共産主義から極東を守る必要がなくなってきた。それに加えてアメリカが「世界の警察」をやめると言い出した。だから今の日本は、戦後初めて安全保障を自前で考えざるを得なくなっている。
 自民党だけではなく、共産党と社民党を除く民進党も含めてすべての政党が、安全保障の面から改憲を考えてはいるんです。しかし、どこも改憲の在り方が定まっていない。
 そこで安倍さんは、公明党と折衝重ね、自民も妥協しながら、2014年7月に「新三要項」に限定するという形で、「集団的自衛権行使」を認めるという閣議決定をした。
 僕はこれについては、憲法違反の疑いは大いにあると思っている。憲法学者の多くもそう言っているんだから。でも、安倍さんがアメリカを日本の安全保障から逃さないために行ったことですよ。
 実際、今の憲法を中学生や高校生が読んでも、自衛隊は違憲だと思うはずです。だから僕自身は、少なくとも日本に自衛権があることを認め、自衛隊の存在を明記するくらいの改定は必要だと思っている。

明日の第三回の質問は「時代に合わせた「憲法改正」は必要なんでしょうか?」です。

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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