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田原総一朗「参議院選挙で改憲政党が3分の2以上の議席を獲得したという人がいる。だけど、僕はそれも正確ではないと思っている」

田原総一朗さん30日毎日連載 Q1.今回の参議院選挙では、自公が3分の2以上の議席を獲得しました。日本の政局に「改憲」へ向かうのでしょうか?

Q1.今回の参議院選挙では、自公が3分の2以上の議席を獲得しました。日本の政局に「改憲」へ向かうのでしょうか?

◆憲法改正はそう簡単にはできない

 

 日本という国は、世界的な規模で見ると非常に安定している国。格差があると言っても、アメリカやイギリスほど人々の貧困の差もなく、失業率も高くない。

 例えば、アメリカの大統領選挙の共和党の候補者選びで、最初は泡沫だと思われていたドナルド・トランプが選ばれたのも、イギリスが国民投票でEU離脱を決めたのも同じ理由。二つの国の国民が“現状を変えたい”という気持ちが強かったから。どちらかというと、低所得者に支持されたものだと僕は考えている。

 ところが日本では、改憲に嫌悪感を覚えたり、アベノミクスの行き詰まり感を訴えたりする人はいても、アメリカやイギリスのように、今の経済状態に大きな不満を持っている人は、それほど多くないのだと思う。それ民進党をはじめとした野党は自公が出す法案に文句を言っても、国民が納得する確実な対案を出せていない。

 ただこれは、怠慢で対案を出していないというのではない。経済問題になると、今や日本国内だけにとどまらず、世界にも影響が及んでしまうから。その仕組みが非常に複雑で、難しくなっているから、アベノミクスに代わる方法論を打ち出せないでいるのだと思う。

 そうなると、いくらかの不安はあっても、まだ経済的な安定状態を保っている自民党に入れてしまうんです。

 次に改憲についてだけど、今回の選挙で改憲政党が3分の2以上の議席を獲得したという人がいる。だけど、僕はそれも正確ではないと思っている。

 確かに自民党は2012年に改憲草案を出しています。それによると、例えば「自衛隊」ではなく「国防軍を保持する」とし、現憲法の9条2項にある「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という規定が削除されている。

 しかし、よく議席の構成を見てください。与党は、公明党に大阪維新の会が加わらないと3分の2にならない。そして公明党は憲法9条も、96条も改憲することには反対なのだから、改憲勢力が過半数を超えたとは言えない。

 だから、自民党や安倍さんがいくら改憲を言ったところで、そうそう簡単には憲法改正はできないでしょう。

明日の第二回の質問は「連立政権の他政党を説得して改憲するという方法もあるのでしょうか?」です。

 

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田原 総一朗

たはら そういちろう

ジャーナリスト。1934年滋賀県生まれ。60年早稲田大学文学部卒業。同年岩波映画製作所入所。64年東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』講談社)、『安倍政権への遺言 首相、これだけはいいたい 』(朝日新聞出版)など多数の著書がある。


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