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まだ間に合う!夏休みに行きたい北海道のすごい名所BEST3

8月8日発売『企画展がなくても楽しめるすごい美術館』より北海道の美術館をピックアップして紹介します。

【安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄】海外でも大人気! 四季ごとに楽しめる彫刻と自然の芸術広場

緑が優しい初夏のアルテピアッツァ。

 北海道にはすぐれたミュージアムが多いのです。安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄もその一つで、廃坑となった炭鉱町に再建された一種のアート公園です(アルテピアッツァとはイタリア語で「芸術広場」の意)。かつての小学校と炭鉱住宅街が再活用され、七万平方メートルのエリアの屋内外にわたって、美唄出身でイタリア在住の彫刻家・安田侃氏の作品が展示、展開されています(氏の作品は札幌駅のコンコースにも置かれていて待ち合わせの目印になっているので見知っている人も多いでしょう)。

 心の向くまま、気の向くまま、自由に散策し、自分のペースで時を過ごせるのがここの魅力です。屋外の作品をオリエンテーリングのように見て回るもよし、屋内の作品とじっくり向き合うもよし。フレキシブルな鑑賞が自分のペースで楽しめます。また、夏は緑の草原、冬は一面の雪原と化す当地は季節によってまったく表情が異なります。つまり、訪れるたびに新しい発見があります。夏の爽やかな風情もいいですが、私個人は冬のしんとした静けさが捨て難いと思っています。

 不定形をした安田氏の作品は見る人の心を映すところがあるように思います。同じ作品に対しても人によって捉え方が違うし、同じ人でも時によって見え方が変わるということがあります。その人そのときの心模様が見え方に反映し、どう見、どう感じるかを通して人は自分を見つめ直すことになるのだと思います。

 2003年7月には天皇皇后両陛下も来訪されました。近年では海外でも評判が立つようになっており外国人の訪問が増えています。2015年には台湾からじつに5000人もの団体がやってきたというから驚きです。作家のセンスと作品の力によって、アルテピアッツァ美唄は一種アーティスティックなサンクチュアリになっている感があります。札幌のモエレ沼公園と同様、ここも入場するのにお金は要りません。やはり、より多くの人々に楽しんでもらいたいという趣旨なのでしょう。

 

安田間彫刻美術館アルテピアッツァ美唄
〒072-0831
北海道美唄市落合町栄町
0126-63-3137
http://www.artepiazza.jp
営業/9:00~17:00
休/火曜日(祝日は開館、翌平日休館)、12月31日~1月5日
料金/無料(任意で寄附をお願いたします)
アクセス/電車:JR美唄駅から市民バス「アルテピアッツァ美唄」下車(約19分〜32分) 車:美唄ICより約5分

 

*この記事はヴィジュアル新書『企画展がなくても楽しめるすごい美術館』より抜粋したものです。

 

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藤田 令伊

ふじた れい

1962年、奈良県生まれ。アート鑑賞ナビゲーター、大正大学文学部非常勤講師。企画集団プラスリラックス共同代表。鑑賞者の立ち位置を大事にしながらアートの愉しみを広げる活動に尽力している。独自の視点によるアート情報サイト「ARTRAY」主宰。著書に『現代アート、超入門!』『フェルメール 静けさの謎を解く』『アート鑑賞、超入門!7つの視点』(すべて集英社新書)、『芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本』(秀和システム)がある。


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