【聖徳太子伝説と秦の始皇帝の末裔、秦氏の謎】 | BEST T!MESコラム

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聖徳太子伝説と秦の始皇帝の末裔、秦氏の謎

聖徳太子信仰と秦氏と広隆寺と蚕ノ社

常に新たな視点を持ち、従来の研究では取り扱われなかった古代史の謎に取り組み続けてきた歴史作家・関裕二が贈る、日本人のルーツを探る異端の古代史シリーズ!(現在第7弾まで発売中)その中でも厳選したテーマを紹介いたします。

聖徳太子

 聖徳太子は、本来関係のない京都にも多くの伝説を残しているが、それはなぜかと言えば、山背(やましろ)(山城。京都府南部)を地盤にしていた秦(はた)氏と結ばれていたからだ。

   秦氏はのちに、聖徳太子信仰の担い手になっていった。

   秦氏は新羅(しらぎ)系の渡来人だが、「秦(しん)の始皇帝の末裔」を自称する(『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』にも、そう書かれている)。本当かどうか判断がつきかねるのだが、森浩一氏は肯定的に捉えていた。秦の時代に中国四川(しせん)省の成都(せいと)の郊外に築かれた都江堰(とこうえん)と京都の秦氏が築いた葛野大堰(のみのすくね)がよく似た構造をしているからだ。葛野大堰とは、観光地で有名な嵐山の渡月橋(とげつきょう)周辺を指している。

「山背」は「ヤマトの裏側」の意味で、この一帯を開発して豊かな土地に変えたのが、秦氏であった。伏見稲荷(ふしみいなり)や松尾大社(まつおたいしゃ)、広隆寺(こうりゅうじ)も秦氏の創建だ。また桓武(かんむ)天皇は、長岡京、平安京が「ヤマトの裏側」であることを嫌い、「山背」を「山城」に変えた。

 ところで、秦氏といえば、「ユダヤ」とのつながりが取り沙汰されもする。広隆寺の講堂には、五芒星(ごぼうせい)をあしらった額が奉納されている。

京都市太秦の広隆寺

    また蚕(かいこ)ノ社(やしろ)(木島坐天照御魂(このしまにいますあまてらすみたま)神社)には、鳥居を三つつなげた三柱(みはしら)鳥居があって、真上から見ると正三角形になる。これを二つ重ねれば、ユダヤのダビデの紋章につながるというのだ。しかし、五芒星は道教の太一(たいつ)であり、さらに五行(水金火木土)の五つをつないだ図形だ。三柱鳥居は不思議な形をしているが、それぞれが「六つの聖地の方角」とつながっていたことがはっきりとしていて、ダビデの紋章を意識しているわけではない。

 それよりも秦氏を考える上で重要なのは、長岡京、平安京遷都ののち、没落していくことだ。

   桓武天皇は天智系で、天武系の聖武天皇の築き上げた「仏教の都=平城京」を、忌みきらい、山背に移ったのだった。その時、秦氏は「地元が都になる」と小躍りしただろうし、遷都に積極的に協力した。しかし、長岡京造営中に藤原種継(ふじわらのたねつぐ)暗殺事件が起きて、秦氏は衰退の道を辿っていくことになる。

   秦氏は桓武天皇に寵愛されていた藤原種継と姻戚関係を結ぶことで発言力を高めていたのだ。事件は、「その他の藤原氏」の陰謀だった可能性が高く、秦氏も標的にされたのだろう。

 広隆寺の近くに秦河勝(はたのかわかつ)の墓と目される蛇塚(へびつか)古墳がある。飛鳥の石舞台のように、封土(ふうど)がないのはなぜだろう。

 おそらく、秦氏を追い落とした権力者(藤原氏)の嫌がらせではあるまいか。

異端の古代史シリーズ③ 聖徳太子は誰に殺された』より

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関 裕二

せき ゆうじ

 



1959年生まれ。歴史作家。仏教美術に魅了され、奈良に通いつめたことをきっかけに、日本古代史を研究。以後古代をテーマに意欲的な執筆活動を続けている。著書に『古代史謎解き紀行』シリーズ(新潮文庫)、『なぜ日本と朝鮮半島は仲が悪いのか』(PHP研究所)、『東大寺の暗号』(講談社+α文庫)、『新史論/書き替えられた古代史』 シリーズ(小学館新書)、 『天皇諡号が語る 古代史の真相』(祥伝社新書)、『台与の正体: 邪馬台国・卑弥呼の後継女王』『アメノヒボコ、謎の真相』(いずれも、河出書房新社)、異端の古代史シリーズ『古代神道と神社 天皇家の謎』『卑弥呼 封印された女王の鏡』『聖徳太子は誰に殺された』『捏造された神話 藤原氏の陰謀』『もうひとつの日本史 闇の修験道』『持統天皇 血塗られた皇祖神』『蘇我氏の正義 真説・大化の改新』(いずれも小社刊)など多数。新刊『神社が語る関東古代氏族』(祥伝社新書)



 


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