スケジュール帳がビッシリ?「忙しいが美徳」は大間違い。人間の器量は「暇の使い方」で決まる【大竹稽】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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スケジュール帳がビッシリ?「忙しいが美徳」は大間違い。人間の器量は「暇の使い方」で決まる【大竹稽】

大竹稽「脱力の哲学」6 〜暇こそ本番〜

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ。 1844- 1900。哲学者、古典文献学者。

 

■「忙しいが美徳」は大間違い。ニーチェが語る「暇な人間」とは?

 

 わたしたちの心が不安や恐怖に覆い尽くされてしまうのは、暇がなくなったからかもしれません。素直になれないのも、真剣になれないのも、暇を避けているからかもしれません。「生産のため」に舗装された「最速」のルートから、ひとまず離れてみませんか。あえて、立ち止まってみませんか。

 「暇人」とはなかなか絶妙な言い回しです。いっぽうで揶揄することにもなれば、いっぽうで羨望にもなります。日本で一番人気の哲学者のニーチェも、主著の一つ『人間的な、あまりに人間的な』で、「忙しいが美徳」のような風潮を痛烈に批判しています。

 

 「学者たちは、せかせかした楽しみを求めて動き続ける人たちと張り合う。そしてこの楽しみ方を、はるかに多くの楽しみともなるようなやり方よりも高く評価している。学者たちは暇を恥じる。しかし、暇や無為は貴いものだ。暇な人間は、いつも動いている人よりましである。だが、わたしが暇や無為ということで、諸君を指しているとは、まさか思うまい、怠け者の諸君?」

 

 さて、「忙しい、ああ忙しい」なんて弁解はそろそろ飲み込みましょう。きっとそれは、あなたを追い立てるために他の誰かがあなたに刷り込んだ「キラーフレーズ」なのです。そろそろ限界じゃないですか?

 あなたの模範になるのは、時間に縛られた忙殺人ではなく、「よし!暇だ!」なんて言えるような行動にも心にも余裕がある人なのです。先輩や上司にそんな人、いませんか? いればラッキー!いなかったらあなたがその「先輩」「上司」になってしまいましょう。

 あなたが無心になれる本番は、忙しい時にはありません。「暇こそ本番」なのです。

 

文:大竹稽

 

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大竹稽

おおたけ けい

教育者、哲学者

株式会社禅鯤館 代表取締役
産経子供ニュース編集顧問

 

1970年愛知県生まれ。1989年名古屋大学医学部入学・退学。1990年慶應義塾大学医学部入学・退学。1991年には東京大学理科三類に入学するも、医学に疑問を感じ退学。2007年学習院大学フランス語圏文化学科入学・首席卒業。その後、私塾を始める。現場で授かった問題を練磨するために、再び東大に入学し、2011年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程入学・修士課程修了(学術修士)。その後、博士後期課程入学・中退。博士課程退学後はフランス思想を研究しながら、禅の実践を始め、共生問題と死の問題に挑んでいる。

 

専門はサルトル、ガブリエル・マルセルら実存の思想家、モンテーニュやパスカルらのモラリスト。2015年に東京港区三田の龍源寺で「てらてつ(お寺で哲学する)」を開始。現在は、てらてつ活動を全国に展開している。小学生からお年寄りまで老若男女が一堂に会して、肩書き不問の対話ができる場として好評を博している。著書に『哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ』(共著:中央経済社)、『60分でわかるカミュのペスト』(あさ出版)、『自分で考える力を育てる10歳からのこども哲学 ツッコミ!日本むかし話(自由国民社)など。編訳書に『超訳モンテーニュ 中庸の教え』『賢者の智慧の書』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など。僧侶と共同で作った本として『つながる仏教』(ポプラ社)、『めんどうな心が楽になる』(牧野出版)など。哲学の活動は、三田や鎌倉での哲学教室(てらてつ)、教育者としての活動は学習塾(思考塾)や、三田や鎌倉での作文教室(作文堂)。

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