アイドルの激痩せと過食嘔吐告白、大食いやヴィーガンの死。この夏の「痩せ姫」事情を振り返る【宝泉薫】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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アイドルの激痩せと過食嘔吐告白、大食いやヴィーガンの死。この夏の「痩せ姫」事情を振り返る【宝泉薫】

 

 そういえば最近、Perfumeのあ~ちゃんこと西脇綾香の激痩せも話題になった。ただ、本人はインスタグラムで、

「心配ありがとう! でも、私は元気です~!健康です~!数ヶ月かけて鬼ダイエットがんばりました~!! あと、心の体質改善も だから今が1番健康的で毎日が楽しいです!」

 と、説明。また、インスタライブでは10キロ近く減らして中学時代の体重に戻れたと語り「自分史上ベストワンの体を目指してそうなった」という「鬼ダイエット」の理由についても明かした。

 デビュー後に太ってしまい、ほんわかキャラでブレイクした彼女はそれが不本意だったという。グループの他ふたりが容姿キャラともにスマート系なことも、そこに拍車をかけたようだ。痩せて騒がれるのは今回がたしか二度目だが、約20年間、痩せ願望を抱えてきたということだろう。

 世の女性の多くが痩せようとしているなか、芸能人ならなおさらともいえる。ただ、そんな世の中でも、逆に太っていることを売りにする女性芸能人だっているわけで、美のあり方はさまざまだ。

 そして、理想の美、さらには生き方に近づくための方法にも絶対的な正解はない。そこにも生きづらさがあるし、正解をめぐってさまよう経緯や結果が摂食障害、あるいは大食いやヴィーガンだともいえる。と同時に、欲やこだわりの突出はそれ自体が異能でもある。それゆえ、注目されたり、特殊な快感も得られたりするわけだ。

 そういう人たちは、いろいろ闇も抱えているのだろう。それを表現するのもエンタメであり、キラキラとした輝きをふりまく王道とは少し違うが、邪道ともいえない。芸能も芸術も、人間とは何かを見せるものなのだから。そういう意味で、痩せ姫ほど人間らしい存在はいないということも改めて感じるのである。

 

文:宝泉薫(作家・芸能評論家)

 

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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