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日本人の20人に1人は「隠れアスペ」!? 見過ごされがちなグレーゾーンの悩み【吉濱ツトム】

「隠れアスペ」はなぜ気づかれないのか?

 

◾️アスペルガーの医学的分類は3つ

 

 真性も「隠れ」も含めて、アスペルガーは医学的に3つのタイプに分かれます。

 ひとつは「受け身型」のアスペルガー。他人から近づいてきても拒絶はしないけれど、自分から人に近づくことはしないタイプです。人に誘われれば出かけることもありますが、自分から人を誘うことは滅多にありません。どんなに親しい相手でも、用事がなければ自分からメールもラインのメッセージも送ることはありません。しかし、相手から送られてきたらきちんと返事をします。

 それに対して、「孤立型」は他人からのアプローチを完全に拒絶し、返事もしません。人が怖かったり人にあまり興味をもてなかったりするため、誘われても応じることはほとんどありません。常に自分の世界だけに閉じこもっている、引きこもりのようなタイプです。序章で紹介した、友達と遊ばないD君はまさに孤立型の典型でした。

 3つ目は「積極奇異型」。前章「『隠れアスペ』はなぜ気づかれないのか?」では、僕が中学生のときに超ハイテンションなKY(空気が読めない)人間になった話をしましたよね。あのウザいヤツ(=つまり当時の私)が積極奇異型です。みんなが昨日のプロ野球の結果について話しているところにいきなり割り込んで、「今後の日中関係ってさー……」とベラベラまくしたて、しゃべり終わったら「じゃ」!と去っていく。みんなはポカーンとするばかり。一方的すぎて、まるで会話になりません。

 積極奇異型のアスペルガー人にとって、世界は自分を中心に回っています。自分さえ楽しければそれで幸せ。KYなので、周りにウザいと思われていることに気づかず、むしろ「俺、イケてる」と自信満々に思っています。僕も、積極奇異型の全盛時代は、恥ずかしながら「ヒーロー不在のこの時代、俺の肩の荷が重すぎる」と本気で思っていました。とんでもない勘違い野郎ですが、他のアスペとは違い、生きづらくはないので、ある意味幸せなタイプといえます。

 3つの中で隠れアスペに多いのは、最もソフトな受け身型です。極端な孤立型は、どちらかというと真性アスペに多いタイプ。積極奇異型は、日本人にはあまり多くありません。本書(『隠れアスペルガーという才能』)でいう「隠れアスペ」は、主に受け身型だと考えてください。

(『隠れアスペルガーという才能《新装増補版》』から抜粋)

 

文:吉濱ツトム

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よしはま つとむ

発達障害カウンセラー

発達障害カウンセラー。幼い頃より自閉症、アスベルガーとして悩み、長期間にわたる「ひきこもり」を経験。悲惨な青春時代を歩むが、自ら発達障害の知識の習得に取り組み、あらゆる改善法を研究し、実践した結果、数年で典型的な症状が半減。26 歳で社会復帰。以後、自らの体験をもとに知識と方法を体系化し、カウンセラーとなる。同じ症状に悩み人たちが口コミで相談に訪れるようになり、相談者数は 2000 人を超える。現在、個人セッションのほか、教育、医療、企業、NPO、公的機関からの相談を受けている。著書に『アスベルガーとして楽しく生きる』(星雲舎)、『隠れアスベルガーという才能』(KK ベストセラーズ)、『発達障害に人のための上手に「人付き合い」ができるようになる本』(実務教育出版)がある。

 

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  • 吉濱ツトム
  • 2023.03.22