ホテルではなく日本旅館にこだわった「星のや東京」がついに7月オープン! |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

ホテルではなく日本旅館にこだわった「星のや東京」がついに7月オープン!

東京・大手町に2016年7月20日オープンする星野リゾートの新施設「星のや東京」の魅力を、旅ジャーナリストののかたあきこさんがいち早くお届け!

最上階には大手町温泉の露天風呂!

「星のや東京」の開業が2016年7月20日に迫り、先日その概要がメディア関係者に発表されました。

 東京メトロ大手町駅に直結する「大手町フィナンシャルシティグランキューブ」に隣接して、地下2階・地上17階建ての一棟建ての「日本旅館」が誕生。レセプションラウンジは茶室やカンファレンスルーム(着席20名)を備える2階に設け、客室は3〜16階に全84室用意。地下にはダイニング、最上17階には東京の新名所となる大手町温泉(ナトリウム-塩化物強塩泉)が楽しめる男女別大浴場と露天風呂、スパルームがあります。

 高層ビル上層階ではなく、あくまで一棟建てにこだわったのは、これまで「星のや」が提供してきた「非日常」への誘いを大切にしているからでしょう。外観は江戸小紋のモチーフをイメージ。宿へ向かうアプローチには着物の帯をちらしたようなデザインの広場を設置しています。

 

ランドスケープデザインは軽井沢、京都、竹富島、富士の4つの「星のや」を手がけるオンサイト計画設計事務所が担当。今回の星のや東京では「東京駅前の都市広場である空間」を京都の植彌加藤造園とともに造りあげた。
 

 最初の驚きは玄関となる1階で靴を脱ぐこと。天井高5mの通路をどんどん進みながら非日常の世界にタイムスリップ。全84室のお客様の下駄箱が並ぶ壁も圧巻のデザインです。館内のほとんどが畳敷きでつながり、玄関から客室へと続く流れをつくりだしています。館内は裸足のままで寛ぐセミプライベートの空間。ここが国際金融の拠点・大手町であることを忘れてしまうでしょう。

 

上/ビルの外観には江戸小紋があしらわれてる。右/入口で靴を脱ぎ、靴は玄関にしまわれる、まさに日本旅館のしつらえ。

 

 コンセプトは「塔の日本旅館」。内装設計及び外観デザイン協力を行う東環境・建築研究所の代表・東利恵さんにその説明を求めると、「客室階にはそれぞれ6つの客室とフロア専用の“お茶の間ラウンジ”を設け、ワンセットでひとつの旅館というイメージです。それが14層ありますので『塔の日本旅館』と呼んでもらっています」。東氏は2005年開業の「星のや軽井沢」から、京都、竹富島、富士と、これまで4つの「星のや」を建築設計しています。「塔の日本旅館」に込められた思い。それは星野リゾートが「星のや軽井沢」設計前から付き合いがあるという東氏の父、建築家の東孝光さんの名作「塔の家」にリスペクトしたコンセプトネームであると星野リゾートの星野佳路代表に以前伺ったことがあります。

 「塔の日本旅館」である「星のや東京」。外観はビル建てでも中身は徹底的に「旅館」にこだわっています。星野リゾートがはじめて手がける都市型の宿泊施設。それも東京・大手町の一等地。「世界に対し日本旅館をアピールするためにはどうしたらいいか。チームで考え抜いた末、靴を脱ぐ所からはじめようということになりました」と東氏。

 客室は竹素材など和の素材をふんだんに用いた和室を3タイプ用意。和室といっても、現代人のライフスタイルにあわせて、ベッドを配するなど快適かつ機能的でリラックスできる空間が「星のや」流。外国人にも好評の籐の座椅子を含め、家具はオリジナルです。

 

定員2名の「桜」「百合」は伝統的な和室(ツインとダブル)、約50㎡。定員3名の「菊」は約80㎡、寝台にシングルサイズの布団を3枚並べる

 

「各フロアに設けた『お茶の間ラウンジ』は、客室以外に何度も行きたくなる滞在空間を目指しました」と、総支配人の菊池昌枝さんは話します。館内着のままソファでごろごろしたり、賑わいのある空間で仕事ができるよう窓辺にデスクを設けたり。「テーマは、団らんと日本の佳物(よいもの)。客室とお茶の間ラウンジを24時間行ったりきたり。グループでフロアを貸し切り利用する楽しみもあります」と菊池氏。お茶の間ラウンジでは、滞在の時間帯にあわせて、お茶とお菓子、日本酒と蔵元オススメのつまみ、朝のおにぎり、星のや東京オリジナルのスペシャル珈琲を提供。

 館内着のままで、客室以外も自分空間のように寛げる。これは日本旅館の魅力であり、ラグジュアリーリゾート「星のや」の魅力でもあります(特に「星のや軽井沢」は個人的に、一度館内着に着替えたら滞在中ずっとそのまま!)

 

「星のや東京」の跡地は、徳川家康の時代に四天王と言われた酒井家代々の屋敷だった。「星のや東京」のマークにも、酒井家の家紋が使われている。話すのは菊池総支配人。
 

「皇居までお散歩に行ける素敵な着物の館内着を制作中です。星のや東京の魅力は江戸の歴史を伝える周辺散歩にあると思っています」と菊池総支配人。皇居も眺められる日本旅館の誕生。周辺に世界最高級ブランドのホテルが点在する中で「星のや東京」が展開する独自路線にメディアも注目しています(プレス発表会のメディア参加者は約250名でした!)。精鋭のサービスチームによるおもてなしや、ダイニングでの独創的な料理なども楽しみです。

 星野リゾート代表取締役社長である星野佳路氏は「星のや東京」への思いをこう話します。

 

「国内に外資系ホテルが続々オープンする中、和のおもてなしを大切にする日本旅館が世界の都市で必要とされることを、東京から発信していきます。『星のや東京』は、海外に日本旅館のよさを伝えていくフロントラインであると考えています。東京で認められれば、日本旅館が世界に進出できる扉がどんどん開ける気がしています。いつもチャレンジャーの気持ちでスタッフとともに努力していきます」

【データ】東京都千代田区大手町1丁目9−1。全84室、チェックイン15時、チェックアウト12時、1泊1室7万8000円〜(税サ込み、食事別)。ホームページで予約受け付け中(星のや総合予約☎0570-073-066) http://www.hoshinoyatokyo.com

 

オススメ記事

のかた あきこ

のかた あきこ

福岡県福岡市出身。旅ジャーナリスト、フリーライター&編集者、温泉ソムリエ、まちづくり案内人。早稲田大学卒。旅行読売出版社編集部を経て2002年独立。旅と温泉に詳しく、宿本"旅美人SPECIAL"では編集長を務め温泉旅館に関する書籍を多数製作。その他、木楽舎『ソトコト』温泉日和連載。テレビ東京「ソロモン流」などでも紹介。本誌でも『一個人』×星野リゾート「大人の休息旅」を連載中。「まちづくり会議2011&2012」では全国からパネラーを集め、まちづくり人案内人を務めた。公式サイト「のかたあきこオフィシャルサイト」(http://nokainu.com)


この著者の記事一覧