牧島かれん、三浦瑠麗、吉村洋文らが暴れる「21世紀の日本」において発生した究極のディストピア【適菜収】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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牧島かれん、三浦瑠麗、吉村洋文らが暴れる「21世紀の日本」において発生した究極のディストピア【適菜収】

【隔週連載】だから何度も言ったのに 第9回

岸田内閣でデジタル大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)、行政改革担当大臣として初入閣した牧島かれん。2022年1月7日の閣議後の記者会見で、いつものアニメ声で「2025年ごろまでに個人の学習履歴や授業の出欠状況など、教育データを政府がデジタル化して一元化する」「子どもたちの個性を伸ばすことができるよう、教育の現場でデジタル化の環境を整備し、具体的な政策として進めていきたい」。いよいよ、ディストピアが現実のものになってきた。

 

■「日本人は12歳の子ども」

 

 子どもに関連する政策を一元的に担う「こども庁」について、政府が2023年度の設置に向けて調整していることがわかった。子どもに関連する政策は複数の省庁にまたがっているが、それを統合するという。「いじめ、不登校、貧困、自殺、教育格差を解決する」などと聞こえのいい言葉が並んでいるが、総理大臣の直属機関に権限を集中させるということ。悪い予感しかしない。これまで一貫して国と社会の破壊と国民への攻撃を仕掛けてきた連中がまともな目的を持っているとは思えない。子どもや家庭環境に関する情報を収集し、デジタル庁などと連携してデータベースを構築するなどと聞くと、ディストピア小説のようでもある。

 子どもの前に、子どもっぽい大人の心配をすべきだ。ダグラス・マッカーサーは「日本人は12歳の子ども」と言ったが、自民党には安倍晋三67歳児、菅義偉73歳児、麻生太郎81歳児もいる。人材の宝庫。保育園状態。「大人庁」でも創設して、こいつらの精神的貧困を解決したほうがいい。

20211110日、第二次岸田内閣発足への特別国会が召集。

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 銭湯など公衆浴場で 混浴が可能な年齢 は、各都道府県や中核市の条例に定められているが、これまで「11歳まで」と国内でも高めの設定だった栃木県が「6歳まで」に引き下げた。厚生労働省は、制限年齢の引き下げを全国の自治体に通知していたが、栃木県は「(条例を)制定した当時と現在とでは子どもの発育状況も違う」ために見直したという。

 今の11歳は体が大きい。先日、ランドセルを背負い黄色い帽子をかぶった身長180くらいの小学生を見かけた。それも複数。髭も生えていたから、陰毛もボーボーだろう。女湯に入ったら、パニックになるレベル。

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 時代の移り変わりは激しい。私の場合も、この20年、あっという間だったから、その5倍の100年くらいもあっという間なんだろうなと思う。私が子供だった頃は、江戸時代の人が生きていた。慶応元年(1865年)生まれの泉重千代さんには、1880年生まれという説もあるそうですが。

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 国の基幹統計「建設工事受注動態統計」を国土交通省が無断で書き換えて二重計上していた問題で、二重計上が行われた8年分の大半は、書き換え前の数値を復元するのが困難とのこと。調査票自体が書き換えられた上、書き換え前の調査票の写しが残っていないそうだ。調査票の電子データは保存されているが、これは書き換え後の調査票の数値。二重計上が国内総生産(GDP)にどう影響したかを検証するのは困難な情勢だ。

 国交省は長年にわたり、期限後にまとめて提出された調査票の数値について、調査票を書き換えて回収した当月分に合算するよう都道府県に指示。一方で2013年4月分から、未提出の建設業者の数値として推計値を計上していた。この結果、同一業者の受注額を二重計上する形となっていた。20年1月~21年3月分は、国交省職員自らが書き換えをしていた。

  ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』の主人公である役人ウィンストンの仕事は、歴史の改竄である。「党」にとって都合が悪い過去の事実を抹消し、新たに歴史を捏造する。そこでは、言葉の破壊活動が継続的に行われている。以前私は『一九八四年』を紹介する文章で「事実そのものが抹消・捏造されるなら、やがて歴史の解釈すら不可能になる」と書いたが、すでに21世紀の日本においてディストピアは現実化していたわけだ。

ジョージ・オーウェル(1903〜1950年)。ジャーナリスト、作家。ディストピア小説『一九八四年』では、全体主義のパロディとして「監視管理社会」を描いた。

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適菜 収

てきな おさむ

1975年山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語にした『キリスト教は邪教です!』、『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』、『ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒』、『ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒』、『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?」(以上、講談社+α新書)、呉智英との共著『愚民文明の暴走』(講談社)、中野剛志との共著『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』、『遅読術』、『安倍でもわかる政治思想入門』、『日本をダメにした新B層の研究』(KKベストセラーズ)、『ニッポンを蝕む全体主義』『安倍晋三の正体』(祥伝社新書)など著書50冊以上。「適菜収のメールマガジン」も好評。https://foomii.com/00171

 

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