年間262安打の大リーグ新記録、10年連続200安打達成…。イチローの偉大なキャリアは、日々、自分なりの「最善」を尽くすという強い信念で支えられていた。数々の言葉から、人生を切り開くヒントを読み解く。(児玉光雄 著『イチロー流「最善主義」で夢を叶える』より)

■「一番になりたかったですね。僕は、ナンバーワンになりたい人ですから。オンリーワンの方がいいなんて言っている甘い奴が大嫌い。僕は。この世界に生きているものとしてはね。競争の世界ですから」

(2008年シーズンに213安打でフィニッシュした試合後に語った言葉)

 この世の中は競争社会。趣味の世界ならまだしも、仕事において「オンリーワン」では弱過ぎるのだ。誰も興味を示さないところでいくら一番になっても決して一流の仲間入りなんかできない。

 厳しい競り合いを通して切磋琢磨して、初めて置き換えの利かない才能を身に付けることができる。だから、理屈抜きに自分を厳しい状況に追い込んでベストを尽くそう。

 努力しなくても実現できる「オンリーワン」を捨てて、一番になれなくてもいいから、厳しい試練を味わうことを厭わずに、その真っ只中で揉まれよう。

 安易な成功よりも、厳しい闘いの中で失敗を積み重ねながら自分の才能を目一杯発揮することに努めたら、着実に実力が身に付いていく。同時にそういう環境に身を投じることにより、一流の人間特有の「やり抜く力」や「粘り抜く力」を獲得できる。

 自信よりも執念のほうが明らかに強い。どんな逆境に陥っても投げ出さないで最後までやり抜くためには自信ではなく執念を持って仕事と格闘するしかない。

 何でも便利になっている情報化社会だからこそ、忘れられかけている「執念」という資質が求められるようになる。