写真:望月仁/アフロ

 第37回全国女子駅伝が1月12日に行なわれた。中学生から実業団まで、47都道府県の代表選手が全9区をリレーするので、合計423人の女性たちの走りを見ることになる。そして、今回は例年以上に、選手たちの健康状態が気になった。最近、女子の陸上長距離界では「鉄剤ドーピング」とでもいうべき問題が注目されているからだ。

 これは貧血の治療に用いられる鉄剤を、その必要のない選手にまで使うというもの。ちなみに、五輪のマラソンで二度メダルを獲得した有森裕子は現役時代、鉄欠乏性貧血に悩まされ、ひどいときは鉄剤注射で改善させていたという。

「鉄剤を打つと、とても体が楽になり、まるで空中を飛んでいるみたいに軽やかに走れたことをよく覚えています」

 ただ、骨がもろくなったり、将来的に肝硬変などにつながったりというリスクもあるので、彼女の場合はあくまで医学的な処置だった。が、現状は「治療のためではなく、持久力を高め、レースで良い結果を出すために打っている」ようなケースが少なくないのだという。

 そこで、日本陸上競技連盟は、安易な鉄剤注射の根絶を宣言。昨年12月の全国高校駅伝では、男子も含めた全エントリー選手に鉄剤注射使用の有無を申告させた。さらに、大会後には全出場選手に血液検査の結果報告を求めるなど、対策を講じている。

 とはいえ、その効果を疑問視する声も。男女の大会出場校指導者を対象に行なわれたアンケートでは「根絶できない」という回答が4割を超えた。「学校と懇意な医療機関が検査を行うなら改ざんは可能」といった指摘も出たほどだ。

次のページ この問題には競技の宿命的特性が絡んでいる。