年間262安打の大リーグ新記録、10年連続200安打達成…。イチローの偉大なキャリアは、日々、自分なりの「最善」を尽くすという強い信念で支えられていた。数々の言葉から、人生を切り開くヒントを読み解く。(児玉光雄 著『イチロー流「最善主義」で夢を叶える』より)

■「つらいこと、しんどいことから逃げ出したいと思うことは当然だと思うんですけど、元気な時、エネルギーのある時にそれに向かっていくのは大事なことだと思います」

(引退会見の最後に「人生において大切なこと」について語った言葉)

やり抜く力(Grit)」は最近の心理学の注目されるテーマである。ひと頃注目された「やる気」はやや色褪せつつある。ここで「やり抜く力」を定義しておこう。これは「やりたくないけれどやらなければならないことを進んで行う能力」と定義できる。プロの仕事にはやりたくないけれどやらねばならない仕事が満ち溢れている。

 イチローにしても、「一番やりたくない作業はバットを振る作業」と語っている。それではなぜ彼がそのやりたくないバットを振る作業を進んで日々長時間心を込めて行えたのか? それはバットを振らなければヒットを量産できないことを知っていたからだ。

 仕事で必要なのはやる気ではなく、やり抜く力でなければならない。

19世紀のドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェはこう語っている。

「天分だの、天賦の才だのと言って片付けないでほしい! 才能に恵まれていない人びとも、偉大な達人になるのだから。達人たちは努力によって偉業を成し遂げ、(世間の言う)“天才”になったのだ」

 自分が定めた行動を断固としてやり遂げる能力を身につけて果敢に行動を起こそう。それがあなたに偉大な才能を授けてくれる。