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「全国学力テスト」が教員を評価するツールにされていいのか

【第8回】学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

■「学力テスト」を巡る議論がはじまる

 高知県土佐町の議会が、「全国学力テスト(正式名称:全国学力・学習状況調査等)を現在の悉皆方式から抽出方式に改めるべき」とする意見書を文部科学大臣などに提出することを決めたのは、今年12月10日のことだった。
 人口4,000人足らずでしかない地方自治体の議会が、国に異議を申し立てたわけであるから、それなりの話題にもなった。

 土佐町議会が意見書の提出を決めたのは、子どもたちがテスト漬けになっている状況、および教員がテストの分析と対策に追われて疲弊している状況を改めるべき、という理由からである。
 これに文科省がどう対応していくのか注目されている。

 全国学力テストに向けて、過去問題の練習や関連した宿題などの対策が学校で行われることは珍しくないが、それが子どもたちにも教員にも、多くの時間と労力を強いることになっている。もちろん、これは土佐町だけに限った話ではないだろう。
 同テストを悉皆から抽出にすれば、子どもたちや教員の負担は減る、というのが土佐町議会が決議した意見なのだ。抽出型にすれば、過剰な競争にはなる可能性は低くなるからである。

 では、なぜ大きな負担になるまで、そして、教員までもが全国学力テストに必死になるのだろうか
 

■テストは誰のためのものなのか

 文科省は、「子どもたちの学力状況を把握する」のが同テストの目的だと説明している。つまり、目的は「調査」のはずだ。しかし、調査が目的なら、わざわざ対策などする必要もないはずだ。
 それにもかかかわらず、子どもたちはテスト漬けになり、教員は疲弊するところまで追い込まれているのはなぜか? その答えを教えてくれたのは、ある地方の教員だった。

 「テストの結果が教員の評価にも影響しているからです」

 大阪市に吉村洋文市長が、全国学力テストで数値目標を設定し、達成状況に応じて教員の手当を増減させると発表して物議を醸したのは、2018年8月2日のことだった。同テストのほとんどの科目において、大阪市が政令市で2年連続の最下位だったことが、吉村市長の自尊心を傷付けたと考えるのが妥当だろうう。

 しかし、全国学力テストのランキングに神経を尖らせるのは吉村市長に限ったことではない。自治体の首長全体に共通しているのである。「自らの教育政策の成績が同テストの順位である」と首長たちが考えているからであり、自らの評価にも影響すると考えているからこそ神経を尖らせるのだ。
 それ自体が、文科省の掲げる「調査」という目的から大きくズレている

 大阪市長の発言が物議を醸すくらいであるから、全国学力テストの成績を教員の手当に反映させるという事態は、まだ本格化しているとまでは言えないのかもしれない。しかし、前出の教員は「それはあくまで『今はまだ』ということでしかありません」と語る。
 

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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