全国大会金賞を目指し、日々厳しい練習に励む吹奏楽部員たちが綴ったノートにはどんな想いがこめられているのか。 歩んだ3年間のなかで、詰まったドラマや物語を彼ら彼女たちが書き溜めたノートから読み取る書籍『新・吹部ノート 私たちの負けられない想い』。強豪校を中心に4月から10月に開催される全国大会までを取材。 友情・努力・涙・葛藤・プライド…。その書から少しだけここで…。(『新・吹部ノート 私たちの負けられない想い』より

■人付き合いは苦手でも、目指すは「夢のステージ」​

 

 実を言うと、ウノは人と協調して何かをするのが大の苦手だ。他人にはあまり興味がない。できることなら、人と関わらず、何事も自分だけでやっていたい。

 大人数で活動する吹奏楽部には向いていない性格なのだが、それでもずっと続けてこられたのは、定期演奏会など本番をやり切った後に残る満足感、コンクールで良い成績が得られたときの喜びのためだった。

 不思議なことに、ウノは人と話し合ったり一緒に行動したりするのは苦手でも、みんなで音楽をつくりあげることは大好きだった。音楽を通じてならコミュニケーションできる。

 金管リーダーになってしまった今、ウノは少し無理をしてみんなの前に立ち、話をしたり指示を出したりしている。

「自分が萎えてたら、みんなも萎えるやろうな」

 そう思うから、前に立つときはなるべく明るくしている。

 昨年、ウノは高2で初めて「ばら」になり、トランペットパートの一員として全日本吹奏楽コンクールを目指すことになった。

 中国大会の前日、「もも」が「ばら」の壮行会をしてくれた。そのときのことをウノは自分のノートに書き残している。

 

 その後、明誠学院は全日本吹奏楽コンクールに出場。ウノも初めて「夢のステージ」でトランペットを吹いた。

 自由曲はベルリオーズが作曲した《「幻想交響曲」より 第5楽章》。ウノは演奏しながら、ステージから見るセンチュリーホールの光景を目に焼き付けた。そして、祈った。

「来年もここに来られますように……」

 審査の結果、明誠学院は銀賞を受賞した。

 先輩たちが引退し、ウノたちの代が最高学年になった。

 ウノは金管リーダーになり、部長のカゲたちとともに吹奏楽部を引っ張っていくことになったが、やってみて初めて「先輩たちのようにはうまくできない」ことに気づいた。

 まず、リーダーたちがうまくまとまらなかった。

 ウノはこう書いている。

 

 

 人付き合いが苦手なウノだけに、部内で人間関係がうまくいかないことへの悩みは大きかった。自分自身のリーダーとしての資質も、悩みのうちの一つだった。