2019年ももう終わり。今年も韓流芸能人たちはわたしたち日本人を盛り上げてくれもし、ザワつかせもしてくれた。これから韓国芸能界がどんな方向に向かっていくのか…。(『韓流アイドルの深い闇』著/金山 勲より

■ブラック・イメージからの脱却へ

 日本でもタレントに対する誹謗中傷はある。韓国での中傷と比べることはできないが、大手タレント事務所には、リスクをできるだけ軽減するために、さまざまな手厚いタレント保護のシステムが整備されている。

 タレントが有名になれば、CM、ドラマ、映画、音楽、キャラクター商品など、多くの分野とのコラボレーションが成立し、巨額の利益を得る。その反面で、何か事故があってそのタレントの価値が損なわれた場合、スポンサー企業などとの契約上から、損失は数十億円以上に達する場合があるため、定期的に専門的な心理カウンセラーがタレントたちの心理状態をチェックしている場合が多い。

 しかし、韓国では、あらゆる苦痛と精神的な圧力は、すべてタレント本人が抱えなければならないのだ。

 韓国で心理カウンセリングを受けることは、面子が潰れることであり、尊厳を失うことと捉えられており、特に選民意識が強い有名人にはその心理が強く作用しているようだ。

 タレントに限らず一般の韓国人も、他人から肯定されることを望んでおり、自分が完璧な人間であることを求めている。自分が誰かから欠点を指摘されたら、自暴自棄になり、極端な道を選びやすくなるといわれている。

 

 人気度に依存する芸能人には、このような傾向がさらに強く、華やかな光の中にいる韓国の有名芸能人たちは、面子は命より大切と考えているのかもしれない。

 だが、最近の韓国の社会的思潮には、大きな変化が見られるようになった。海外での韓流ブームで、タレントが外国のエージェンシーと条件の良い契約を結ぶ例も増えてきたのだ。それに準じて、劣悪だとされた韓国内での契約も、改善されつつある。

 タレントとの契約書は、外国の契約書を見習って、細々とした労働条件を書き入れるようになり、以前に比べて格段に分厚いものになっている。

 女性の芸能人の間にも、ハリウッド女優の“Me Too”運動が飛び火し、韓国芸能界にはびこっていたセクハラ行為が続々と告発されるようになった。このことが切っ掛けでタレントの労働環境改善を促す自浄作用が起きている。

 そればかりか、最近では福利厚生の一環として社員食堂を作り、社員やタレントに食事を提供する芸能プロダクションまであるようだ。

 これら一連の流れから、かつて「奴隷契約」といわれた韓国芸能界のブラックイメージからは、脱却しつつあるといえるだろう。