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世界も危惧する“教員を軽視し続ける国”日本

【第9回】学校と教員に何が起こっているのか -教育現場の働き方改革を追う-

■薄給激務では人は集まらない

 

12月23日、文科省が2019年度公立学校教員採用試験の実施状況を発表した。採用試験の競争率は小学校で2.8倍と、昨年度の3.2倍を下まわり、過去最低を更新した。

これを受けて、「組織で人材の質を維持するのに必要とされる倍率は3倍とされ、『危険水域』を割った」(『毎日新聞』2019年12月23日付Web版)など、競争率の低下を問題視する指摘が目立った。

しかし、これは「競争させなければ質は保てない」という競争至上主義時代の名残でしかない。

倍率だけでなく、受験者数も減っている。2017年度に公立小学校教員の採用試験を受けたのはは5万3,606人、2018年度は5万2,161人と、5万人を超える水準は維持してきていた。ところが2019年度は4万661人となってしまっている。

さらに教員を養成する教育学部人気も急落している。2019年入試での教育系学部の志願者数は、埼玉大で844人減、東京学芸大で963人減、横浜国立大で1,145人減、大阪教育大では1,285人減、福岡教育大となると1,362人減となっているのだ。

もっとも2010年度は、2008年のリーマン・ショックの影響で民間企業が採用を絞ったり、民間企業の不安定感が浮き彫りになったことを受けて教員や公務員の人気が回復した時期でもある。しかし、現在はまたもや人気を落としているのだ。その後の景気改善で民間企業が採用を増やしたことも大きな要因ではあるが、民間企業にくらべて学校という職場が魅力に欠けていることが最大の原因だろう。

こうした数字を並べてみると、あらためて「教員人気の低下」を実感させられる。そして、その人気低下には、学校という職場の「過酷」さが大きく影響してもいる。

 

■特効薬は「学校という病」を治すこと

 

文科省が「平成30年度公立学校教職員の人事行政状況調査」を公表したのは、2019年12月24日のことだった。それによれば、公立学校の教員の精神疾患による病気休職者数は5,212人となっている。前年度が5,077人であり、136人が増加したことになる。5,000人前後での推移は、2007年度からずっと続いている。

病気休職者は、ある日突然に病気になって休職するわけではない。体調がすぐれないなかで我慢して教壇に立ち、ついに力尽きて休職する。「休職しないまでも体調不良を訴える教員はごろごろいるし、いつ休職してもおかしくない教員も珍しくありません」と、ある公立小学校の教員は言った。

学校という職場は病んでいる。そんな職場を就職先として望むほうが、奇特なのかもしれない。倍率が、受験者数が、と騒ぐ前に、「学校の病を治せ」の声を大きくするほうが先なような気もする。

そして、人を集めたいならやはり待遇が重要である。人材確保のために好待遇を呈示する民間企業が増える傾向が強まっていくなかで、教員の待遇改善はなかなかすすまない。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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