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「桜を見る会&森友学園」疑惑も本質は同じ。要は忖度!「安倍首相案件だから・・・」
田原総一朗氏 × 望月衣塑子氏が斬る!

憲政史上最長「安倍政権」の行方④

●国際舞台で日本の政治家が発言出来ない理由

田原・・・トランプ大統領が、「ニューヨークタイムズ」と「ワシントンポスト」の記事をフェイクニュースだと言った。

c) harada-besttimes 2019

 それがきっかけで、ニューヨークタイムズとワシントンポストはどんどん部数を伸ばした。日本の場合、東京新聞が頑張っても部数が伸びない。「安倍新聞」と揶揄される「産経新聞」も伸びてない。この間、朝日新聞の幹部に、「最近の朝日はつまらないね」と言ったら、「部数が伸びてないから、取材費を落としている。それと、働き方改革で取材が出来ていない」ということだった。

望月・・・いまの新聞記者は、かつてに比べて大人しくなったと思われますか?

田原・・・そういう意味では望月さんは貴重な存在。こんなうるさい人はあまりいない。でも、日本の他の新聞記者はなぜ、おとなしくなったのか?

望月・・・アメリカでは、先生が言ったことをまず疑い、その上で「議論を始めましょう」となります。日本では、そういうことが小中高では教えられない。大学の先生が色々話した後、「みんなどう思う?」と聞いても、答えてくれないそうです。自分たちの中で何がよくて何が悪いか分からないまま、疑問の目を育てないまま、小中高時代を過ごしてしまうわけです。だから考えたり、発信したりする力は低下するばかりです。

田原・・・宮澤喜一さんが、先進国首脳会議や国際会議で日本の政治家は発言しないと指摘していた。「なぜ、しないのか?」と聞くと、「英語が話せないからだ」と言っていたが、それは「違う」と思う。日本の教育が悪い。特に、小中高が良くない。教師は、生徒に正解のある問題しか聞かない。正解を答えないと生徒は怒られるんだよ。だから政治家も正解を答えないといけない。
 先進国首脳会議やG7に、正解なんてあるわけがない。アメリカやヨーロッパでは正解のない問題を生徒に提示している。イマジネーションやディスカッションを重視して、こうしたことをするわけだ。日本は正解を求めてばかりだから、いつまで経っても西欧の人たちから相手にされない。意見表明がないから、“不思議の国の人たち”としか見えないからね。

望月・・・今、政府が進めている、英語の民間試験導入などのそもそもの下地になるものは、アベノミクスの第三の矢「成長戦略」を議論するために設けられた「産業競争力会議」にあったという指摘があります。つまり、産業界のニーズのために大学改革や高校教育の改革を行おうとしている。

●「官房長官を記者みんながボイコットすればいいだけだ!」

田原・・・望月さんが官邸から怒られても、記者仲間は望月さんの味方しないよね。どうしてそんなにだらしないのか。官房長官を「ボイコットする」とみんなで決めればいい。

望月・・・それができない……。

田原・・・どうして、そんなにだらしないんだ。

望月・・・安倍長期政権の威力に新聞記者は屈しているということなのかもしれません。

田原・・・違うと思う。ただ、記者たちは一切取材拒否すればいいんだ。そうしたら、官邸の方が、「頼むから取材してくれ」となるんだ。

望月・・・新聞記者の多くは、官邸に取り込まれてしまった、ということになるのかもしれません。

田原・・・ストライキできないのか……。
 民主党政権はなぜ潰れたか。潰したのは検察だった。
 言い換えると、検察が小沢一郎を潰した。西松建設事件で。小沢のトップ秘書を逮捕し禁錮3年執行猶予5の判決が下されたが、小沢本人は結局、不起訴処分
 それで今度は陸山会事件。世田谷・深沢の土地購入をめぐる資金疑惑でまた逮捕。マスコミはみんな「小沢が悪い」と、ワッーと一斉に叩いた。そのとき、ある新聞の幹部に、「この情報は全部検察から出てるはず。なぜ、検察からの情報と書かないのか」と言った。そしたら、「書いたら出入り禁止になる」。
 しかし、もっと悪いのは民主党議員までが、「小沢が悪い」と言い出したこと。 結局、民主党はそれで分裂した。あの時、望月さんは?

c) Yoshiro Sasaki 2019

望月・・・特捜担当で、小沢さんの案件は取材していました。

田原・・・それで、「小沢は悪くない」と書いた?

望月・・・いえ、書いていません。

田原・・・僕は、「小沢は悪くない」と言ってた。ロッキード事件以後、検察は色々と検挙摘発したけれど、リクルート事件などは絶対、冤罪。鈴木宗男事件も、ホリエモンのライブドア事件と、検察の強権捜査が続いた。

 僕は堀江貴文さんも冤罪だと見ている。逮捕される前の日まで僕は彼と対談していたんだ。彼が「フジテレビ」を買収した時、マスコミは全部アンチ堀江になったけど、僕は堀江支持だった。この問題が決着し、彼が衆議院選挙に出たタイミングで検察が逮捕。容疑は証券取引法違反だった。結局は部下の役員たちが堀江さんの名前で粉飾決算をしていたことが分かって、無罪を主張したが、堀江さんは懲役2年6カ月の有罪判決。粉飾をしたのだから、会社の代表である堀江さんに確かに責任はあるけれど、色々考えると本当は執行猶予だったと思う。
 そこで、重要なのがジャーナリズム。新聞とテレビの役割は大きい。しっかりしてもらわないと困るんだよね。

望月・・・ネット時代と言われていますが、真相を掘り起こしていくのがジャーナリズムだと思っています。
 例えば森友学園疑惑を掘り起こしたのは、社会部の記者たちですが、そもそもの端緒は、豊中市議の木村真さんが地道な調査の中で怪しい土地の売却や、値引きの経緯を発掘したことです。それをもとに記者たちが取材しました。
 こういう調査報道では、オールドジャーナリズムといわれる新聞にはいまだ強さがあると思います。新しいメディアは、読みやすさはありますが、十分な調査報道が出来るだけの人や、お金が足らないという事情もあるでしょうね。
 例えば「毎日新聞」が続けている「公文書クライシス」、東京新聞も「税を追う」という特集キャンペーンを張っています。じっくり時間をかけて、細かく取材ができる体制があるのは新聞だし、雑誌ジャーナリズムの力でもあると思います。こうしたものがないと政権の暴走を許すことになってしまうと考えています。

田原・・・東京新聞の望月さんには、徹底的に森友学園疑惑をやって欲しい! 
 この問題が始まった時から追って、籠池夫妻にもインタビューもしているんだから。頼んだよ!

c)harada-besttimes 2019
田原総一朗(たはら・そういちろう)
1934年、滋賀県生まれ。 1960年早稲田大学卒業後、岩波映画製作所、東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、1977年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』などの番組でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。 1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学で、「大隈塾」を開講。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数。 著書多数、近著は『殺されても聞く』(朝日新書)。
望月衣塑子(もちづき・いそこ)
1975年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒。東京新聞記者。千葉、埼玉など各県警担当、東京地検特捜部担当を歴任。2004年、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の事実をスクープし自民党と医療業界の利権構造を暴く。社会部でセクハラ問題、武器輸出、軍学共同、森友・加計問題などを取材。著書に『新聞記者』(角川新書)
『THE独裁者』『「安倍晋三」大研究』(KKベストセラーズ)『安倍政治100のファクトチェック』(集英社新書)他。
 

 

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「安倍晋三」大研究
望月衣塑子&特別取材班(著)

憲政史上最長も見えてきた安倍政権。
閉塞感が続く日本の政治だが、安倍政権のどこが問題なのか? 政治家・安倍晋三とは何者なのか?
いま知っておきたい日本の政治で起きていること、日本の未来。

THE 独裁者 国難を呼ぶ男! 安倍晋三
古賀茂明・望月衣塑子(著)

空気を読まない二人が忖度なしの徹底討論!
鉄壁•菅官房長官に鋭く斬り込んだ話題の記者•望月衣塑子氏と、日本の政治の裏の裏を知る元経産省官僚の古賀茂明氏。
偽りと忖度が横行する日本の政治、独裁•安倍政権の「不都合な真実」を暴く!

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  • 望月衣塑子&特別取材班(佐々木芳郎)
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