国民の「勧善懲悪への飢え」を政府は“時々”は満たすべきだ【藤森かよこ】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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国民の「勧善懲悪への飢え」を政府は“時々”は満たすべきだ【藤森かよこ】

ポリコレではなく普通のまっとうさを国民は求めている

菅義偉総理、国民は勧善懲悪の実現を望んでいるんです……

 

■人々が求めているのはポリコレではなく勧善懲悪の実現

 

 私は、ポリコレ警察は嫌いだ。有名人が差別的な類のことを言ったとか言わなかったとか、SNSが炎上する現象は幼稚だと思う。

 「キャンセルカルチャー」が日本においてまで流行することは好ましくないと思う。「キャンセルカルチャー」とは、アメリカ発の現象で、たとえば「人種によって知能指数には明らかに差がある」と発言した学者の講演や講義を学生たちがけしからんと大学に抗議してキャンセルさせるような活動を呼ぶ。その学者は、そのような客観的データがあると指摘しただけで、ある人種に属する人間すべての知能指数が低いとは言っていないのであるが。(※ポリコレ・ヒステリーは「社会の進歩に伴う問題」かもしれない【藤森かよこ】 |BEST TiMES(ベストタイムズ) (kk-bestsellers.com))

  私は正義の実現を声高に言い募る人々にも用心する。コロナウイルス感染拡大予防のために、人々が密状態になるのを回避するために、どんどん緊急事態宣言を発令することは正義と呼べるのかもしれないが、多くの人々が集まらざるをえないオリンピックやパラリンピックは開催された。都合のいい正義だなと思う。ほんとうは、そんなに凶悪危険なウイルスではないと政府は知っているのかもしれないと疑いたくなる。(※U.S. review of COVID’s China origin unlikely to solve vexing questions | Reuters)

 

 ともかく、普通の国民にとって、ポリコレは大きな問題ではない(と思う)。人間は愚かなのが普通なので、うっかり差別語を使ってしまうこともある。相手がどう感じるか想像力を使わずに、セクハラやパワハラと糾弾されかねない言動をとってしまう。

 しかし、大丈夫だ。愚かであろうと不用心であろうと、だんだんと学んでいくのが人間だから、差別語に対しても、差別的行動についても注意するのが、次第に慣習となり文化となっていく。

 ほんとうに国民が関心があることは、明確に悪であることが許されていることだ。

 

次のページ法の下の平等が為されないという悪への怒り

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藤森 かよこ

ふじもり かよこ

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課 程満期退学。福山市立大学名誉教授で元桃山学院大学教授。元祖リバータリアン(超個人主義的自由主義)である、アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者。アイン・ランドの大ベストセラー『水源』、『利己主義という気概』を翻訳刊行した。物事や現象の本質、または人間性の本質を鋭く突き、「孤独な人間がそれでも生きていくこと」への愛にあふれた直言が人気を呼んでいる。  

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