中田翔選手の早期復帰“リフレッシュ処分”に見るコミッショナー・巨人・マスコミの体質【松野大介】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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中田翔選手の早期復帰“リフレッシュ処分”に見るコミッショナー・巨人・マスコミの体質【松野大介】

 

《問題2》巨人とマスコミ

「トレードから即出場」を実現できたのは天下の巨人だから。

 私は子どもの頃から巨人ファンだが、「江川 空白の1日」の入団事件から「え? なんで?」と驚いた事件は多い。今回の件でも不正スレスレの補強でチームが強くなって、うれしいわけではない。

 当事者が巨人だと、スポーツマスコミは「栗山・原会談」「巨人が中田を救う」「長島さん激励効果の本塁打」と美談にする。巨人で食ってるメディアが多いからだが、マスコミも利益優先で本来の批判精神を失っている。

 

《今後の問題》

 しかし批判が膨らむ現状では、マスコミも無視できなくなり、今後は巨人とプロ野球界の対応に焦点が集まる。(どっちが悪いかがテーマになったりするうち、結局うやむやになる可能性が高い)

 しかし今回の問題の根底は中田選手がおかした暴行とその償いなのに、トレード・謹慎処分解除・ホームランなど一連の出来事で矮小化されてしまっている。

 セカンドチャンスのない社会はいけないと思う。しかしこれが二軍の選手か、もしかしたら一軍でも巨人の戦力にならなければ出場停止が続き、その後にセカンドチャンスがある。中田選手のように謹慎が丸ごとなくなればセカンドチャンス以前に、「処分なし=悪いことではなかった」という印象になってしまう危険性がある。

 例えば芸人が後輩に暴行を働いたら、永久追放ではないのか?

 

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松野 大介

まつの だいすけ

1964年神奈川県出身。85年に『ライオンのいただきます』でタレントデビュー。その後『夕やけニャンニャン』『ABブラザーズのオールナイトニッポン』等出演多数。95年に文學界新人賞候補になり、同年小説デビュー。著書に『芸人失格』(幻冬舎)『バスルーム』(KKベストセラーズ)『三谷幸喜 創作を語る』(共著/講談社)等多数。沖縄在住。作家、ラジオパーソナリティー、文章講座講師を務める。

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